第一線で活躍する医師や看護師、医療従事者などが講師として登場し、わかりやすく解説する「メディカのセミナー」。そのセミナーのプログラムのうちチャプターの1つをメディカLIBRARYだけで特別配信します。
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講師
大和田哲雄
関西労災病院整形外科 脊椎外科部長
相原雅治
医療法人啓明会 相原病院 副院長兼人工関節センター長
<どんなセミナー?>
手術がわかれば看護が変わる!
動画や模型でじっくり解説されるので、見て理解できます。
セッション形式の質問コーナーでみなさまのギモンを解決します。
配信|CHAPTER 5: 人工股関節、人工膝関節
さて、本などでは人工股関節全置換術は「THA」とか「THR」と書かれていますが、「R」は「Replacement」つまり「入れ替え」の略です。「A」は「Arthroplasty」で「関節形成術」の略です。
以前は「THR」「TKR]と「R」が主に使われていていまでも英連邦系では「R」が使われることが多いですが、日本とアメリカでは最近は「A」が使われることが多いです。ただ意味としてはどちらも同じで、どちらを使っても正解です。
人工股関節全置換術(Total Hip Arthroplasty:THA)の適応疾患は、大部分は変形性股関節症です。特に日本の場合は一般的に臼蓋形成不全による二次性の股関節症と呼ばれるものがほとんどです。
このほかステロイド関連、飲酒、外傷性が原因となる大腿骨頭壊死症、そして関節リウマチがあります。関節リウマチは変形性股関節症のように骨棘形成などは見られず軟骨だけが薄くなっていくような所見が多いのですが、最近のバイオ製剤の開発により非常に数が少なくなっています。
それ以外にも、大腿骨の頚部骨折の症例とかでもTHAを行うことがあります。
臼蓋形成不全は、骨盤の屋根側が臼蓋と呼ばれる部分ですけれども、この部分が本来であればもうちょっと骨頭の大部分をカバーしなければならないのですが十分に骨盤が形成されておらず起こるといわれています。
臼蓋形成不全の原因はわかっていないのですが、日本人に多いとされています。接触面積が少なくなると当然、面積あたりにかかる負担が増えますので年齢より早期に軟骨が傷んできます。
早ければ40歳代後半から50歳代で痛みが発生し、重度の場合は20歳代くらいから症状が出てくる場合もあります。ただ20歳代から股関節痛が発生する場合は、人工股関節よりも骨盤骨切り術での対応が多いです。
臼蓋形成不全によって関節軟骨が傷んできて、どんどん痛みが出てくると同時に変形が進んでいきます。
亜脱臼変形のようにズレてきたり、脱臼変形のように完全にズレると、足も短くなりますし、股関節の動きが非常に悪くなります。
それ以外に、乳幼児・小児期からの遺残変形、いわゆる先天性股関節脱臼などがありますが、近年では非常に減ってきています。またペルテス病の遺残変形によって起こる二次性の股関節症もあります。これは小児期や小学校低学年に起こる変化ですが、だいたいみなさん普通に生活されていて、60歳代半ばから痛みが出てくる方が多いです。
さてここからは人工股関節の仕組みですが、基本的には骨盤側にお椀状のカップが入り込みます。そして大腿骨にステムというものを入れ込みます。
カップの内側に入っているのがライナーで、主にポリエチレンが使われることが多いですがセラミックもあります。そしてヘッドを含めて骨頭部分になります。
大腿骨に入れ込むステムは、骨セメントを使って固定する方法と、人工関節表面構造がデコボコになっていてそこに自分の骨が入り込んできて固定される方法、ほかにステムのデザイン等でいろいろな種類があります。
くるくる動いている摺動面は、セラミックとポリエチレンがいまいちばん多いと思いますが、骨頭部分に関しては金属骨頭なども使われます。またセラミックとセラミックなども使われます。
骨頭は、昔は22mm、26mmなどが多用されていましたが、最近はポリエチレンの強度が上がってきたため大きな骨頭を使うことが増えています。いまよく使われているのは28mm、32mm、36mmだと思います。骨頭は大きいほうがそのぶん動く量が増えますので脱臼しにくくなるといわれています。
ですので、認知症など脱臼のハイリスクの患者さんには大きな骨頭を使うのが一般的です。
では模型を使って見てみましょう。
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プログラム
1.腰椎の解剖とその機能
・三次元運動機能
・腰椎における神経組織
・椎間板の解剖
2.腰部脊柱管狭窄症とすべり症
・病態と臨床
・手術治療のいろいろ
・腰椎固定術の実際(手術動画で解説)
3.腰椎分離症と分離すべり症 他
・病態
・すべり症の違い
・骨粗鬆症性椎体圧潰
・脊椎手術の術後観察のポイント
4.変形性関節症について
・脚が弱る原因
・股関節、膝関節の解剖
・加齢に伴う変化
5.人工股関節、人工膝関節
・適応疾患
・人工関節のしくみ(模型を使って解説)
・手術の実際
6.チェックポイントと合併症
・術前外来~入院時~手術~術後のチェックポイント
・合併症~感染、転倒・骨折、疼痛
・退院指導
7.質問コーナー
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