第一線で活躍する医師や看護師、医療従事者などが講師として登場し、わかりやすく解説する「メディカのセミナー」。そのセミナーのプログラムのうちチャプターの1つをメディカLIBRARYだけで特別配信します。

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講師
久松正樹
社会医療法人医仁会中村記念南病院
急性期病棟 看護師長/脳卒中リハビリテーション看護認定看護師

<セミナーを受講するとこんなことが学べます>
・CTやMRIなどの脳画像の読み解き方を伝授します。
・救急現場で遭遇しがちな疾患を取り上げ、それぞれの画像読影のコツ&看護のポイントを解説します。
・具体的な症例で、救急ナースが知っておくべき知識&観察点がわかります。


配信|CHAPTER 1:ぜひ覚えてもらいたい脳画像スライス ベスト3!


「救急ナースのための脳の画像」ということで、今日のお題目はこちらのスライドです。僕の経験をすべてみなさんにお伝えしたいなと思いますのでよろしくお願いします。

救急ナースのための脳の画像01


それでは次のスライドの画像からお話ししていこうかなと思います。

これは何かと言いますと、CT画像ですね。みなさん、CTは見ていると思うんですよね。特にこのセミナーの受講者は救急の看護師さんが多いと聞いていますが、このような脳のCT画像はよく見ると思います。

でもこのCT画像、1枚ずつ見ても、ちょっとわかりにくいよ……、何がどこに書かれているのかもわからないよ……、という問い合わせが僕が働いている施設内でもよくあります。

救急ナースのための脳の画像02


また次のスライドのCT画像もそうですね。このCT画像はいったいどこを写しているんだろう、どこを指しているんだろう、みたいな感じで、何を見たらいいんだろうということですね。

これが一般的なCT画像です。

救急ナースのための脳の画像03


そこで今日は、みなさんに覚えてもらいたいCT画像を3つに厳選してみました。そのCT画像が次のスライドです。

「脳画像は一から覚えようとしちゃいけないんだよ」「覚えてもらいたい脳画像スライス3選!とその理由」といったところをお伝えしていこうと思います。

もちろん脳画像は全部覚えることも大事。教科書によっては10個覚えたほうがいいよとか、8個覚えたほうがいいよと書かれていて、僕は基本的に5つのスライス画像と言っているのですが今日はさらに厳選して3つにします。ぜひ、今日のこの1時間で3つは覚えてほしいなと思います。

でも、ちょっと自信がないよという人は、このうちの1つだけでもいいので、ぜひ覚えてくださいね。

救急ナースのための脳の画像04


それではさっそく覚え方のコツをお伝えしていこうかなと思います。

まず「シンボルを見つける」ということです。シンボルとは何かというと、特徴的な所見のことですね。

まず1枚目を見てください。これは「脳のシワ」と覚えます。このようにいっぱい「シワ」が入ってますよね。

続いて2枚目ですが、ここでは「Y」の字を探すんだよ、ということです。ずっと脳画像を見てきて、「Y」の字が見えてきたらそこがポイントなんだよということです。

そして3枚目は、「ねずみ」を探すんだよということです。

救急ナースのための脳の画像05


それでは先ほどのCT画像に戻ってみましょう。

「シワ」ってどれかなというと、上段の左から3つくらいかな。

では次は「Y」の字ですが、「Y」はないな、「ハ」の字のようなものはあるけど、どうかな、下段まで見ていくと「Y」の字っぽくなってきたかな。

救急ナースのための脳の画像06


では次は「ねずみ」を探してみようかな。上段左側から横に順に見ていくと、3番目くらいからちょっと「ねずみ」っぽいのが見えてきたかなという感じがしますね。

こんなふうにCT画像は見ていくんです。だから、絶対に1枚ずつ覚えようとしないこと

シンボルを見つけて、これは「シワ」、ここに「Y」、そして「ねずみ」みたいに覚えていくといいかなと思います。

救急ナースのための脳の画像07


ここからは今回厳選した3枚のCT画像の見方について話していこうと思います。

1枚目は脳の「シワ」でしたね。脳の「シワ」が見えてきたらそこから何がわかるかということです。

まずこの、脳の「シワ」を見つけたら、逆オメガ(Ω)サインというのを探します

ではこのスライドのCT画像で逆Ωサインを見つけていきましょう。形は平仮名の「ひ」ですね。

実際に探すと、この線(オレンジ色)を引いたところに逆Ωサインがあります。
僕は平仮名の「ひ」に見えるんだけど、医師の先生たちは逆Ωサインとか言ったりしますので、みなさんにも逆Ωサインとお伝えしておきます。

救急ナースのための脳の画像08


そしてこの平仮名の「ひ」、延長線を引いていったところ、これが「中心溝」と呼ばれるものです。これ、逆Ωサインがわかれば何がわかるかというと、運動のスタート地点がわかるということです。

で、ここで覚えておきたい言葉が「錐体路」です。

ではここからはこの「中心溝」と「錐体路」についてお話ししていきます。

救急ナースのための脳の画像09

次のスライドの脳のイラスト、これは僕が簡単に書きました。

この中心のところにタテに入っている線(水色)を「中心溝」といいます。

次に引いたヨコの線(水色)を「シルビウス裂」なんていったりしますが聞いたことがあるかもしれませんね。

救急ナースのための脳の画像10


ざっくりと脳を見るとき、「中心溝」と「シルビウス裂」というのを覚えておいたらいいかもしれません。

この中心溝の前側部分を「前頭葉」といいます。シルビウス裂の下側部分は「側頭葉」です。中心溝の後ろ部分が「頭頂葉」、そしていちばん後ろが「後頭葉」です。

まずは中心溝とシルビウス裂を覚えておきましょう。

救急ナースのための脳の画像11


そして中心溝の前側に薄いエリア(黄緑色部分)がありますがこれを「中心前回」といいます。いわゆる運動野、一次運動野といわれます。

中心溝の後ろ側(黄色部分)は「中心後回」で、感覚野、一時感覚野ともいわれます。

救急ナースのための脳の画像12


ここで中心前回とか、中心溝とか、「溝」とか「回」とかいってるでしょ。これは何かというと、脳の断面を見たときにイラストのようにシワがあるんですよね。このシワの上側部分を「回」といい、溝部分を脳溝の「溝」といいます。

深いシワの谷底部分を「溝」、山側部分を「回」というんだね。

なんかもう少し私たちにわかりやすいように、「脳の溝」ではなくて、「脳の谷」って書いてくれたら……ノウノタニ、ノウタニ、ノウタニショウヘイ(大谷翔平)なんつってね……。

あ、みなさんから拍手がありませんね(笑)

と言ったら拍手いただきました(笑)

こんな感じでこの後も進めていきたいと思います。

救急ナースのための脳の画像13



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プログラム

1)ぜひ覚えてもらいたい脳画像スライス ベスト3!
2)脳画像をアセスメントに加えてみると、やらなきゃいけない看護の根拠が見える!
3)MRIの撮像方法色々!どれを見たら何がわかる?
4)実は画像だけ見ることができてもダメ!ガイドラインから見える次の一手

本セミナーと連動している専門誌の紹介


Emer-Log2024年3号

Emer-Log(エマログ)2024年3号
読影のコツ&看護ポイントがまるわかり!
脳の救急画像


〈1章〉まず押さえる!脳画像検査の心得編
■1 準備・患者受け入れ・検査オーダー
~検査までの流れをスムーズ&スピーディーに~

〈2章〉脳の画像検査の見方:6つのシンボルを見つける編
■2-1 シワがしっかり見える画像を探せ!
■2-2 「ハ」の文字を探せ!
■2-3 「Y」の文字を探せ!
■2-4 ネズミの形を探せ!
■2-5 てるてる坊主を探せ!
■2-6 ハートを探せ!

〈3章〉検査で何がわかるか?編
■3 CTとMRIを臨床に応用するためのヒント

〈4章〉疾患別解説:画像ではこう映る! 読影のコツ&看護ポイント編
■4-1 脳ヘルニア
■4-2 急性硬膜下血腫(頭部外傷)
■4-3 急性硬膜外血腫
■4-4 脳梗塞:心原性脳塞栓症
■4-5 脳梗塞:アテローム血栓症
■4-6 脳梗塞:ラクナ梗塞
■4-7 くも膜下出血
■4-8 脳出血:被殻出血
■4-9 脳出血:視床出血
■4-10 脳出血:皮質下出血
■4-11 脳出血:小脳出血・脳幹出血

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