新人看護師を受け入れる施設側からは、「元気さ」「明るさ」「素直さ」を持ってきてほしいとよく言われています。知識や技術は、働きながら学んでいってくれたらいいと思っているようです。そうは言われても、失敗ばっかりしたらどうしよう、などと考えて不安になったりしていませんか。

メンタリストDaiGoさんは、『ストレスを操る』という本のなかで「失敗を活かせない人の3つのタイプ」として次の3つを挙げています。

① 失敗しまくる人
② 失敗できない人
③ 一度失敗したことによって行動できなくなる人

失敗をしまくる人のなかには、「楽観的」と「楽天的」な人がいます。「楽観的」な人は、未来に希望を持つこと、たとえ失敗してもチャレンジする意欲を失わない。「楽天的」な人は、失敗を忘れてしまう人、だから失敗してもそこから学べないのです。これは、第1回でお話したような「回復力」とは言えないですね。

一方、失敗できない人は「悲観的」です。悲観的なために、リスク回避する行動を優先してしまうようです。ただ、現在のリスク回避を選択することは、将来のリスク回避につながります。つまりリスク回避の先送りということです。だから、いつかどこかでチャレンジしなければならないのです。そういう意味では、新人看護師さんは、たくさん失敗をして、失敗から学んでいったほうがいいでしょう。

1年後には後輩が入ってきます。今年の新人看護師さんも後輩指導をする立場になります。そんな時、「それもできないの?」ってことにならないためには、リスク回避を優先して「失敗できない人」になるのではなく、新人看護師の特権ともいえる失敗を学びに変えていくつもりで、いろんなことを経験しておくといいですね。

さらにDaiGoさんは「自分にとって絶対に許容できないリスクは何か」を決めておくことを勧めています。それにさえ触れなければ、積極的にチャレンジしていくことができるのです。何度も失敗する人も「自分にとって取り返しのつかない失敗は何か」を知っておくことで、無駄な失敗は回避できます。

一度失敗したことによって行動できなくなるのは誰にでもあることです。しかし、「もう失敗は許されない」「失敗は怖い」という気持ちは、かえって頭では「失敗」のことばかりを考えてしまいます。新人看護師の時は「わからない」「できない」ことでも、ひとつ一つ「わかる」「できる」にすればいいのですから、一度失敗したことによって行動できなくなるのはもったいないですね。

入職までに、自分の傾向を知って、「失敗から学ぶ勇気」を準備しておくことです。

〔ラインナップ〕

#001 入職前の準備は3K!環境の変化に備えよう!
#002 「失敗から学ぶ勇気」を用意しておこう
#003 入職しても教科書は捨てちゃダメ!(3/12公開予定)
#004 自分の好奇心に火をつけよう(3/19公開予定)
#005 感謝の言葉を使えるようになっておく(3/26公開予定)




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児玉善子

一般社団法人看護教育支援協会 代表理事。看護師経験15年(筋ジストロフィー病棟、整形外科病棟、手術室で勤務。精神科・心療内科で看護師長)、看護専門学校教員を13年、そのうち教務長として6年間勤務。2018年、一般社団法人看護教育支援協会を設立。

一般社団法人看護教育支援協会
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