▼バックナンバーを読む

事例

Aさん(60 歳、男性)、前立腺がん。肺転移と多発骨転移があり、胸水が貯留して呼吸困難感と腰痛があります。モルヒネを使用していますが、十分に症状緩和が図れず、1日の大半はベッド上でギャッチアップまたは座位で過ごしています。次第に倦怠感が強くなり、着替えや清拭を拒否することが多くなってきました。また便失禁があり、おむつを着用しています。

問題

臀部に持続的な圧迫とずれが加わり、褥瘡の発生リスクが高いと考えられたため、Aさんに説明して圧切替型エアマットレスに変更しました。また体位変換を促しましたが「今はきつい、息苦しくて痛いので動きたくない」と言いました。このような状況での体位変換について、次のうち正しいのはどれでしょうか。
<正解率97%>

(1)2時間毎の定期的な体位変換が必要であることを説明し実施する。

(2)本人が拒否する場合は無理に行わない。

(3)苦痛緩和を図り、タイミングをみながら介助する。



… 正解は …











(3)

解説

(1)⇒圧切替型エアマットレスが使用されている場合、体位変換は4時間を超えない範囲で行います。患者の状況により体位変換間隔を調整する必要があります。
(2)⇒体位変換は、本人が希望する・しないにかかわらず、患者の状態に合わせて声かけや介助をします。
(3)⇒まず症状アセスメントを行い、苦痛の緩和が図れたタイミングをみて実施します。

体圧分散ケアには、主に体圧分散用具の使用、体位変換、ポジショニング(体位調整)があります。体位変換は必ずしも2時間毎とは限らず、体圧分散用具の種類、患者の状態により、個別的なケア計画を立て実施する必要があります。