お互いの領域をリスペクトする|学びカンタービレ|#002|吉岡純希さんと白石弓夏さん(後編)

はじめまして!看護師兼ライターの白石弓夏です。この度、学び方の連載をスタートしました!

看護師として現場で働いていると、“継続的に学びが必要である”と痛感することがあります。大人になってからの『学び』は、自分のなかに落とし込み、現場で活用できるか、応用できるかが重要になってくると思います。みなさんは実際にどのように『学び』を深めているでしょうか。

今回の連載では、さまざまな場所で活躍されている看護師にインタビューを行い、自身の『学び方』について、一緒に考えてみようと思います!

初回はテック系看護師として働く、吉岡純希さん(@Junky_Inc)です。


プロフィール:株式会社NODE MEDICAL CEO/看護師/Medical Design Engineer
1989年札幌生まれ。北海道大学医学部保健学科看護学専攻卒業。看護師の臨床経験をもとにテクノロジーの医療現場への応用に取り組む。病院でのデジタルアート「Digital Hospital Art」の実施。慶應義塾大学にて看護と3Dプリンタに関する研究「FabNurseプロジェクト」へ参画。現在、株式会社NODE MEDICALを設立し、アート、デザイン、エンジニアリングと領域を越境し、医療の現場でのコラボレーションの社会実装を目指している。
https://nodemedical.co.jp/

白石>前編では、自分の知識基盤にのせるイメージで学ぶという話を伺いましたが、吉岡さんは具体的に学ぶときにどのように行動されているんですか?

吉岡>そうですね~。近くに詳しい人がいたらどんどん聞くことですかね。最近なんかは、デザインのことを発信している人も多いので、いろんな人と話をします。来月には病院にリサーチしにいって、課題を見つける機会を設けています。普段の学びは、課題を見つけて介入するなかで、必要に応じて調べることが多いですね。

白石>人とコミュニケーションをとりながら学べるのは強いですね。デザインを学ばれた大学院ではどうでしたか?

吉岡>大学院で看護師は僕1人だったんです。2年間在籍しましたが、1年目のときはデザインの先生たちに看護について今までと同じように説明しても伝わらなかったですね。デザインの先生たちだから、看護のことを言ってもまったくわからなくて大変でした。まずは、自分のやっていることを伝えるために、デザインを勉強している人たちが使う言葉や理論を勉強して、デザインの用語で看護について説明していきましたね。「だから看護のなかではこういうことが評価されるんだ」と。最終的にはデザインの取り組みとして、修士論文をまとめたんですけど……。そうすると、卒業間際には、みんなも看護のことをすこし知ってくれるようになりました。

デザインの話になると、いままでよりもすこし真剣な表情で話してくれました。


白石>共通言語は大事ですね。そもそも使っている言葉がわからない感じですか?ニュアンスが通じないような?

吉岡>価値感が違うというのかな、そこの領域で価値があるとされていることが違うという感覚です。日本語はみんな同じはずなのに、まったく通じないですからね。その言葉をすり合わせるのが大変でした。だけど、結果的にそれぞれの専門領域の価値や知識を交換することはできたと思います。おたがいの領域にリスペクトがあるというのが大きかったです。「看護もすごいよね」「デザインもすごいよね」ってよく話していました。

白石>価値感の違いって、例えばどんなことでしょう。

吉岡>例えば、よく医療現場の人が、外部の業者さんに「○○作ってください」と伝えたはいいけど、建設的なコミュニケーションが取れていないことは多いと思います。医療者が「こういうものを作ってほしい」といったときに、前提が抜けたまま伝えていることが多いんでしょうね。看護のなかでは当たり前だから言葉としては伝えいていないけれど、エンジニアリング領域の人には言わないとわかってもらえないとか、そういうことはデザインの領域でもすごくあります。

白石>あ、すごくわかります!(笑)

吉岡>文脈によって意味合いが変わるコミュニケーションをしてしまっているがゆえに、全部ぶっとばして伝えちゃうことが多くて、ちゃんと伝わらないんです。「○○を作ってほしい」と伝えるよりも、「○○という課題があって、こういう解決策を考えているんだけど、なにかいい方法ありますか?」と伝えるところからはじめないと、おたがい専門的なパフォーマンスを発揮できないでしょうね。そういうコミュニケーションの取り方を、学ぶときには意識していかないといけないと思います。

シェアオフィスのミーティングルームは3Dプリンターをはじめ、いろんな道具が並べてありました。


白石>なるほど。なんならトラブルになりかねないですもんね。

吉岡>そこのすり合わせってめちゃくちゃ重要で……。相手側の領域や、言葉がわかっていないとうまく依頼ができなくなってしまうんですよね。おたがいにプロフェッショナルの人たちの力を遺憾なく発揮するためには、正しいコミュニケーションと、その人たちに合わせた言語で伝えること、このあたりに学びのヒントが隠れていると思います。

白石>学びとしてもそうですが、多職種との連携場面でもいえることですね。そもそも、価値感の違いがあるということに気づかないことも多いと思うので、とてもわかりやすい例えでした!本当に気を付けようと思います。ありがとうございました!

//バックナンバー//

#001 自分の基盤にどうのせるかで学びを考える|吉岡純希さんと白石弓夏さん(前編)


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白石弓夏
看護師兼ライター。整形外科病棟とクリニック、施設で働きながらライターとして活動中。ポジティブ思考、フットワークの軽さが強み。ライターとして情報収集、発信向けにTwitterをはじめたが、いつのまにか飯テロ垢と化したので、軌道修正中。
Twitter→https://twitter.com/yumika_shi