COVID-19「これまで」と「これから」|#003|臨床からの質問状|藤田烈

この記事は藤田烈先生(国際医療福祉大学未来研究支援センター)を講師にお迎えしたWEB講義『臨床現場での感染対策』の受講者限定で行われたWEB配信(2021年6月19日)をまとめたものです。COVID-19の最新情報と一般的な感染対策の考え方、そして、いま大きな関心事であるワクチンについてお話しいただきました。

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質問①

病院に勤務していますが、サージカルマスクが1人1日1枚しか配布されません。昼食時などマスクを外すときはどのようにそのマスクを管理するのがよいでしょうか。腕に耳ひもを通して持っている人もいれば、ポケットに入れてしまう人もいます。


サージカルマスクというのは、鼻や口にウイルスがつかないようにマスクをつけるわけです。それはマスクの表面が汚染されるという前提ですね。ですから外したマスクの表面は汚染されている、そこにウイルスがついているという前提で取り扱わなければなりません。そうしなければ、マスクつけているときに鼻や口にウイルスが入ることを防げたとしても、マスクの表面を触ってしまうとそれがまた手につき、その手で鼻や口を触ればサージカルマスクをしていても感染してしまうわけです。ですからコロナ以前、医療者は当たり前のように必ず使い捨てで運用されていたはずです。

いまはサージカルマスクの流通は問題になっていませんので、本来の使い捨てに戻すことを個人的には推奨しますが、もしご施設の事情でどうしても1日1枚しか使えないということが続くのであれば、その場合には必ずマスクの表面を触らない。外すときには耳のひもを持って注意深く外し保管できるようにする。腕に巻く、ポケットに畳んで入れるとどうしても表面を手で触れることになりますので、やはりお勧めできません。

いまだとマスクを保管するケースもあるので、そういったものも活用しながら表面に触れないようにして持ち歩くか、せめてビニール袋などに入れて表面を触れずにひものところを持って慎重にもう一度つけるといった配慮は必要だと思います。

ご自宅の中だとそこまで神経質になる必要もないかもしれませんが、病院の中というのは感染しやすい人が多いですし、不特定多数の人が出入りしますので、慎重に扱っていただきたいと思います。

質問②

新型コロナウイルスはインフルエンザと同じように毎年流行し、毎年予防接種をするようになるのでしょうか。


その可能性は否定できませんが、いま現在は誰にも予測はできないという状況です。ちょうど5月の初めに日本感染症学会があって、専門家が集まってディスカッションしましたが、一冬を超えても流行が続いているので、急に消えることはあまり期待できなくなったかなという話はありました。

いままで2003年、2008年のSARS、MARSは両方とも変異型のコロナウイルスでした。だいたい1年で消えています。今回の新型コロナウイルスも急にいなくなるか、いまと同じような流行が常に続くのか、あるいはその呼吸器感染症の主役であり続けるのか、これは誰にもわかりません。

また、インド株やイギリス株といういわゆる変異ウイルスですが、もちろんその感染力が強く変化しているという点も問題ですが、恐れられているのは重症度が高いということです。ただ一般的に、ウイルスの進化は重症ではない方向に進化していくのが常です。なぜかと言うと、ウイルスも生物なので自分の種を残すことが目的であり、感染した人間を殺してしまうと自分も死んでしまうわけです。ですから、長い期間で見ていけば、人を殺すほどの病原性というのは削ぎ落す方向に進化していくのが通常です。

ですから、人間のあいだでの感染力は維持したまま、人間を殺したり動けなくするなど重症化させるようなことがないかたちに進化していくことも考えられます。長いスパンで見るとだいたいのウイルスはそうやって進化していきます。人と共生するようなかたちですね。そうしないとウイルスも生き残っていけないわけですから。

新型インフルエンザもだいたい2年目、3年目になると病原性が落ちてくると言われてきました。そして重症度も下がっていく。そう考えると新型コロナウイルスも季節性インフルエンザ並みに残っていくのかもしれないし、あるいはまた元の風邪に戻ってしまうのかもしれないという可能性は、誰にも具体的な判断はできないと思います。ただ少なくともまだ1年、2年は続くのじゃないかと予測する人が多いように思います。

質問③

予防接種の効果の持続期間を教えてください。


これは、まだ誰にもわかりません。おそらく数カ月や半年近くは持続するのではないかという生産段階での予測はありますが、まだでき立てのワクチンですから、こればかりは実際に経過をみてみないとわかりません。ワクチン接種後の流行状況や、どれだけウイルスにさらされるか、ブースター(追加免疫)効果といったこともありますので、どれだけ持続期間があるかはちょっとわかりません。

ただ、2つ目の質問でも説明したように、コロナウイルスは相当高頻度に変異するウイルスとして知られています。コロナウイルスはもともと風邪のウイルスとして有名でしたので、別に珍しいものではありません。確率的にだいたい2週間に1回くらい変異していくと言われています。だから風邪のワクチンはできなかったというのがこれまでの経緯なんですが、それを考えると、ワクチン自体の効果がもしあったとしても、ウイルスの変異が頻繁に起こるようになってくると、インフルエンザのように毎年打たないと株が変わるから効かない、というような話になっていくんじゃないかなというのが、専門家の予想ということになると思います。


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藤田 烈
国際医療福祉大学 未来研究支援センター 管理課長/准教授
赤坂心理・医療福祉マネジメント学部医療マネジメント学科 准教授
国際医療福祉大学 研究管理室 室長

国立病院機構名古屋医療センター、東京大学医学部附属病院臨床研究支援センター、帝京大学医学部臨床研究医学講座講師/臨床研究センター講師、国際医療福祉大学未来研究支援センター講師を経て現職。