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医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。

本日のカタカナ英語:バルン/バルーン

「バルン入れました」「バルーン抜いてもいいって」
看護師さんなら「バルン/バルーン=尿道カテーテル」という意味で使ったことや聞いたことがあるのではないでしょうか。
「バルン」はカタカナだし、そのままでも通じる英語なのでは、とみなさんは思っていませんか?

「尿道カテーテル」が「バルン」と呼ばれる由来は、カテーテルの先端が風船状に膨らんで膀胱に固定されるので、「風船」という意味の「バルン/バルーン(balloon)」が日本の医療現場に定着したためです。
英語で「尿道カテーテル」に相当するのは「Indwelling Urinary Catheter:IUC」ですが、患者さんには「urinary catheter」を使います。「urinary catheter」は直訳すると「尿管」です。
「urinary」は「尿の、おしっこの」、「catheter」は「管」という意味です。
前回紹介した「catheter」の発音を覚えていますか? 「カテーテル」では通じませんでしたね。
最初の発音は「カ」ではなく「キャ」と発音して「キャスィター(ˈkæθɪtər)」と発音します。
「urinary catheter」は「ユリナリィ キャスィター」が英語に近い発音です。

また、どこに入っている管かもっとわかりやすく表現したいときは「a catheter in your bladder(膀胱に入れる管)」を使ってもいいでしょう。


「尿道カテーテル」を「フォーリー(Foley)」と呼ぶ施設もありますよね。
「フォーリー」は、この管をデザインしたボストンの泌尿器科医Frederic Foley(フェドリック・フォーリー)にちなんでつけられたブランド名です。
「尿道カテーテル」が開発されたのは1929年、最初は膀胱鏡による前立腺摘除術後の止血に用いられたそうです。
英語圏の医療従事者は「尿道カテーテル」を「Foley (catheter)」と呼んでいるので、「フォーリー」は通じる英語です。

• There will be a urinary catheter to drain your urine after surgery.

(術後はおしっこを出すためにおしっこの管が入ってきます)


• You have a catheter in your bladder to drain your urine.

(おしっこを出すために膀胱に管が入っています)





30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。


映画「ポーラー・エクスプレス」で使われた一節です。
クリスマスを信じられなくなった少年が空飛ぶ列車に乗って北極まで旅をするファンタジーアニメーション映画です。
イブの夜、窓の外に巨大な列車が現れます。少年は外に出て列車はどこに行くのかを車掌に尋ねます。北極行きの「ポーラー・エクスプレス」であることを伝えた車掌は、少年に「今日の言葉」を伝え冒険が始まるのです。
ちなみに、列車の車掌はトム・ハンクスが声を担当しているのですが、見た目もそっくりです。

私はこの「ザ・クリスマス」的な映画が好きで何度も観ているのですが、「今日の言葉」を聞くたびに「ホントにそのとおりだなぁ……」と考えたりします。
ひと昔前ですが、見切り発車で旅行をするのが好きでした。テレビでアンコールワットの特集を観た3日後に現地にいたり、海外のバスツアーで寄った休憩先が気に入ってそのまま1泊したり、気の向くままに旅を楽しんでいた時期がありました。そんなときの一期一会の出会いは、不思議なことに一生の宝になったりします。そして、「ドキドキしたけど、あのとき決めてよかったぁ~」と思い返すのです。
「どこに何時に着く」「どこで何を食べる」「どこに立ち寄る」など決められたスケジュールをこなす旅行よりも、私は「家から一歩外に出てどっかに行ってみよう!」という何があるかわからない、何もないかもしれない冒険のような旅行が好きです。
大事なことは「自分で行くと決めること」なんだから、一歩外に出ただけで◎なんです。
あとは行く先々で起こる出会いやハプニングが色を添えてくれますよ。

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佐藤まりこ
生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。