外国人患者さんには通じない医療用語|メス|#036|佐藤まりこ

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医療現場で当たり前に使っているカタカナやアルファベットの業界用語、「多分英語だからそのままでも外国人患者さんに通じるかも!」と思っていませんか?
じつは、医療現場は通じないカタカナ英語や英語以外の外来語、おかしな造語が飛び交っています。
そんな業界用語に注目し、外国人患者さんに通じる正しい英語の発音やそのポイント、現場で困ったときに使えるフレーズを紹介します。


本日のカタカナ英語:メス

医療ドラマの手術シーン定番フレーズといえば、張り詰めた空気のなか先生が発する「メスッ」ではないでしょうか?
看護師さんのみならず一般の方も「メス=医療用ナイフ」という意味で聞いたことがあるのではないでしょうか。
「メス」はカタカナだし、そのままでも通じる英語なのでは、とみなさんは思っていませんか?

「メス」は、英語でもドイツ語でもなく、オランダ語です。
オランダ語の「ナイフ」を意味する「mes」が由来です。
「メス」に相当する英語は、「Scalpel」です。
「カ」にアクセントを置いて「スカルポー(skǽlpəl)」が英語に近い発音です。

最近はディスポの医療用メスをよく見かけますが、ひと昔前は、メスホルダーというハンドルに替刃を取り付けるのが一般的でした。「替刃」に相当する英語は「blade(ブレイドゥ)」です。

さて、看護師あるあるかもしれませんが、医療系ドラマを観ていると「あり得ないわ~」とツッコみたくなるシーンってありませんか?
例えば、
・病棟とOPE室の看護師が一緒
・点滴が落ちていない
・OPE直後なのに点滴が生食500mL1本
・波形がまったく変わらない心電図
・よく屋上に行く

では、冒頭で出てきたOPE室の様子は?というと、実際はあんな厳粛で厳かな雰囲気ではないでしょう。医師の好きなBGMが流れていたり、患者さんのリクエストを事前に聞いて流している病院もありますよね。また、「メスッ」という医師もいれば、「メスください」「メスちょうだい」とか、メスは種類によって番号がついているので「10番」「11番」などと番号で呼ぶ医師もいます。
ただ、メスを使うのははじめに皮膚を切開するほんの一瞬だけです。たまに、受け取ったメスでずっと切りまくっている医療系ドラマを見ると「ないわぁ~」とツッコミたくなるのは私だけでしょうか……。実際は、メスで皮膚を切開したあと、メイヨーやメッツェンと呼ばれる医療用ハサミで切っていきます。




30歳を過ぎてからアメリカで看護師をめざした私は、偉人たちの言葉や名言に何度も背中を押してもらい、一歩ずつ前に進む勇気をもらいました。
人はみな、多かれ少なかれ何かに悩んでいます。
そんなときに立ち止まってほしい言葉を紹介します。


NFLで最悪のチームと言われたグリーンベイ・パッカーズを5度のリーグ優勝に導き、映画にもなった伝説のフットボールコーチ「ヴィンス・ロンバルディ」の言葉です。

「Practice makes perfect」は日本語のことわざ「継続は力なり」「習うより慣れろ」に相当します。私の座右の銘でもあるのですが、その否定形から入る彼の言葉に強い印象を受けました。

ロンバルディはけっして「練習は意味がない」「継続は力にならない」と言っているのではありません。たんに練習したからと言って完璧にはならない、勝ちたいならどんな練習にも全身全霊を込めて打ち込め、と言っているのです。

勝負の世界は特別かもしれませんが、正直練習したからといってうまくなるとは限らないし、続けたからといって必ずしも力になるとは限りません。しかし、歴史に名を残す勝者に共通することは、飽くなき情熱を注ぎ全身全霊を込めて打ち込む姿勢ではないでしょうか。

みなさんは、全身全霊を込めて何かに打ち込んだ経験や今夢中になっていることはありますか?
勝ち負けにこだわる必要はありませんが、大人になっても子どものように夢中になれる何かを持っている生き方は素敵ですよね。
40を過ぎて豊かな時間の使い方って何だろう……と考えることが多くなった今日このごろです。

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佐藤まりこ 

生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学。2010年、California RN(Registered Nurse) Licenseを取得するが就職先が見つからず無念の帰国。2012年、駐在妻として米国・オレンジカウンティーにカムバック。2013年、Refresher/Reenter-Update Education Programで総合病院の急性期病棟実習を修了。その後、念願のRNとして内視鏡センターに勤務し充実した日々を送るが、2016年、夫が日本に帰りたいと言い出しふたたび無念の帰国。帰国後は、子育てに奮闘しながらも幸せな田舎暮らしを謳歌し大学病院に勤務中。
幸せな時間は、「川の字で寝る休日のお昼寝」。