こんにちわ。
今回は「心カテ出しのポイント」についてお話しします。

心カテ室のスタッフの方はもちろん、患者さんのカテ出しをしている救急外来や病棟のスタッフのみなさまに役立つようなお話をしたいと思います。

今回、緊急カテを想定してお話ししますが、待機症例も基本は同じです。待機症例のときにも緊急カテを想定して、ふだんから流れを作っておくことで緊急カテのときに戸惑いなくスムーズに対処できる環境を整備しておくことが大切です。

まず、カテ室に入室してやることは?

なぜか多い?! 患者移動のときの急変
なぜか……、ストレッチャーからカテ台への移動時の急変がすごく多いです。私が経験したなかでも患者移動のときに心室細動(Vf)になったケースが何件かあります。

モニタリング誰がするの?
患者さんの移動に気を取られて、モニタリング・患者さんの様子観察がおろそかになっている場合があります。また、患者さん引き渡しのため救急外来スタッフが看るのか、カテスタッフが看るのか、責任の所在が曖昧になってしまうシチュエーションでもあります。

お約束!
モニターに近い人がモニター監視役、患者さんの顔に近い人が患者さんの様子観察役など、それぞれを指名して観察にタイムラグがないようにしましょう。モニターがカテ室のモニター(ポリグラフ)に切り替わったときに、モニタリングはカテスタッフへ引き継ぎましょう。

移動用モニターからカテ室のモニターへ切り替え

1:バイタルサイン装着

①何からつける?まずは心電図!
【スタッフの行動】
カテスタッフ → 心電図を装着することをクセづけましょう。まずは四肢誘導から。
カテ出しスタッフ → モニター・患者観察

※モニタリングしていない空白の時間がないように!カテ室のモニター(ポリグラフ)に心電図が表示されてから移動用モニターの心電図を外します。
※電極によってはエックス線に映るものもあります。心カテの妨げになるので電極も剥がしましょう。

モニターを複数人で装着しているのを見かけます。バイタルサイン装着は1人(または2人)で十分です。なぜなら…
●複数人で装着すると、お互いやってくれているだろうということから、何かを忘れてしまうことがあります。
●緊急時はほかにもやることがいっぱいなので、効率良く同時並行してさまざまな準備をしましょう。
●何よりもモニタリング・患者観察が大切です。

②次はSpO2
【スタッフの行動】
心電図の後はSpO2のプローブを装着します。

Q.なぜ?NIBPより先にSpO2?
A1.すぐつけられるから
A2.脈波が常に表示されるから
→カテの準備中は心電図の波形は乱れることが多いです。心電図が乱れてもパルスオキシメータの脈波が出ていれば心停止などのイベントは起こってないと推測されます。

③次はNIBP
【スタッフの行動】
NIBPのマンシェットを巻きます。

マンシェットを巻くポイント!
●ARTERY▽って書いている部分に動脈を合わせる。
●服の袖をまくりマンシェットは腕に直接巻く。

→ カテ中は血圧低下が起こりうります。そんなときに活躍するのがNIBPです。
※マンシェットが正しく巻かれていないと、低い血圧を正確に測ることができません。
※服の上からだとマンシェットに伝わる拍動が弱くなって、低い血圧時には特に正確に血圧を測ることができません。

私が思う理想のチーム

機能的なチームは、スタッフがバラけている?!

スタッフが1箇所に固まっていないこと。急変時などに一度落ち着いて周りを見渡してみてください。同じところに複数人が固まっていることありませんか? 次に起こりうる状態悪化に備えて、次の処置に備えていつでも動けるよう構えているときは、スタッフの立ち位置はバラけるようにしましょう。

それぞれの立ち位置から、
・見える風景・得られる情報は変わります。
・すぐにできることは変わります。

スタッフがバラけているチームこそがスペシャリストチームなのです。


今回は、「患者さんがカテ室に入室したらまず何からしていくのか」をお話ししました。まずはバイタルサインが監視できる環境にすることが最優先です。

スタッフそれぞれが、それぞれでできることに対してアクションを起こし、効率良くカテが始められる準備をしていきましょう!

カテの準備こそが、チーム医療を発揮するシチュエーションです。


では今回はここまで。

次回も、カテスタッフとカテ出しスタッフの具体的な行動、患者さんがカテ室に入室したときに特に気をつけるバイタルサインについてお話ししていきます。

ありがとうございました。

▼バックナンバーを読む

プロフィール:野崎暢仁
新生会総合病院 高の原中央病院
臨床工学科 MEセンター
西日本コメディカルカテーテルミーティング(WCCM)副代表世話人
メディカセミナー『グッと身近になる「心カテ看護」~カテ出しからカテ中の介助、そして病棟帰室後まで~』など多数の講演や、専門誌『HEART NURSING』、書籍『WCCMのコメディカルによるコメディカルのための「PCIを知る。」セミナー: つねに満員・キャンセル待ちの大人気セミナーが目の前で始まる! 』など執筆も多数。