看護力検定チャレンジテスト|#091




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事例

Aさん(78 歳、女性)は、日課の散歩中に転倒し歩行困難となりました。通りがかりの人に発見され、右股関節痛を訴えたため救急搬送されました。右大腿骨頚部骨折(femoralneck fracture)と診断され、緊急入院となりました。既往歴は気管支喘息(bronchial asthma)、心房細動(atrial fibrillation)があり、内服治療中です。入院前は独居であり、身の回りのことは自分で行っていました。しかし、近所に住む長女は、Aさんが最近物忘れがひどくなったことを気にしています。

問題

術後14 日が過ぎ、A さんの経過は良好です。リハビリテーションに対する意欲は高く順調に進みました。T字杖使用による歩行と階段昇降が開始され、転倒を起こさず入院生活を送ることができました。医師から本人、キーパーソンの長女へ現状について説明があり、4日後に退院が決まりました。退院指導として適切なのはどれですか。
<正解率64%>

(1)「術後2カ月は脱臼のリスクがあるので外転枕を使用しましょう」

(2)「筋力低下を防ぐため日課の散歩は退院翌日から始めましょう」

(3)「感染のリスクがあるので創部はブラシで洗いましょう」



… 正解は …











(1)

解説

(1)⇒人工骨頭置換術では、股関節を内転した状態で回旋が加わると脱臼する可能性があります。術後2カ月は関節周囲の軟部組織が修復しておらず、脱臼しやすいため特に注意が必要です。そのため、外転枕を使用し、適正肢位である10~15度の外転回旋中間を保持するよう指導します。
(2)⇒リハビリテーションは退院後も継続する必要があります。しかし、体力や筋力が低下している状態で入院前と同じ散歩をすぐに開始すると、転倒の危険性もあります。退院後は段階を経て活動量を増やしていくよう指導します。
(3)⇒感染を予防するためには、創部を清潔に保つことが大切です。しかし、ブラシを使用し過度な力を加えて洗う行為は、上皮化したばかりの創を傷つける可能性があります。創部を洗う際は泡で優しく洗うよう指導します。全身的な感染予防に努める必要性も指導します。

手術によって生じた身体機能の変化に応じた生活方法を見出し、残存機能を活かし、患者のQOL 向上のための生活様式を獲得していけるよう退院支援を行うことが重要です。人工骨頭置換術を行った患者には、脱臼予防、関節緩み予防、感染予防など退院後も起こりうる合併症についての患者教育を実践することが必要です。

※2021年5月18日掲載分の再掲載です。