# 心カテ中、何に気をつければいいかわからない
# 心カテ前の患者さまを安心させたい
# 患者さまからの心カテについての質問に答えられない
# この患者さまはカテ室でどのようなことをされてきたのか?
# カテ終わり 術後合併症?!


みなさんこんにちは!
今回は冠動脈造影(CAG:coronary angiography)で冠動脈を見るコツについてお話しさせていただこうと思います。

冠動脈造影を見る視点というのはさまざまかと思います。今回は基本的に見ておいたほうがいい視点。なぜ狭窄に対して治療するのか? なぜ狭窄があるのに治療しないのか? など、マニアックになり過ぎない、すべてのカテスタッフの共通認識として見ておいたほうがいいようなことに関してお話ししていこうと思います。

今回のお話にお付き合いいただくと、
・カテスタッフから病棟スタッフへ冠動脈造影の結果を申し送るべきこと。
・申し送り受けた病棟スタッフであれば、カテスタッフが何を伝えたいのか。
・施行医が治療する必要があるかどうか悩んでいる理由。
・冠動脈造影の注目すべきポイント。
などがわかることを目標に下記の順にお話を進めていきたいと思います。

「冠動脈造影ココがポイント!1・2・3」
1.よく見えるビュー(角度)を探せ!
2.3本の冠動脈どれが大きくてどれが小さい?
3.狭窄の度合いはどれくらい?
おまけ:冠動脈の特徴を見極めろ!
・糖尿病患者さんの冠動脈
・透析患者さんの冠動脈
・痙攣する冠動脈

冠動脈造影ココがポイント1「よく見えるビュー(角度)を探せ!」

冠動脈造影は、患者さんの胸の周りをグルグルとCアームを動かし撮影していきます。では、全部の冠動脈がいちばん見やすいビュー(角度)はどれか? 残念ながらそんなものはありません。冠動脈の場所によって見やすい角度と見にくい角度があります。ぜーんぶが見やすいビューなんてありません。

でも、ざっくりと全体像が見えるビューがあるので、まずはそのビューを基本として見ていくといいでしょう。

①右冠動脈:PA CRA(ピーエー クラニアル)(図1)

《特徴》
・右冠動脈が大きく見えます。
・特に末梢がよく観察できます。

②前下行枝:LAO CRA(エルエーオー クラニアル)(図2)

《特徴》
・前下行枝が正面に見えます。
・対角枝がよく見えます。

③回旋枝:RAO CAU(アールエーオー カウダール)(図3)

《特徴》
・回旋枝が正面に見えます。
・左主幹部(LMT)からの前下行枝と回旋枝の分かれ目がしっかり見えます。

まずは、この3つのビューを基本としてしっかり見れるようになりましょう!

※冠動脈の解剖に自信のない方は「#004心臓を栄養する冠動脈~小ネタを挟みながら~」を読み返してください。

プラスα(マニアック)のお話し

1.右冠動脈編
・#2に病変があるときは「RAO PA」。
・カテーテルを入れるときは「LAO」、ワイヤーを末梢まで入れるときは「PA CRA」。

2.左冠動脈編
・LMTをよく観察するときは「LAO CAU(スパイダー)」。
 =画面の向こう側に走行しているので、病変長さを見るときには短く見えるので要注意。
・PCIでもFFRでも、ワイヤーの入れはじめは「RAO CAU」(CAU方向のいずれか)。
 =前下行枝と回旋枝の分かれ目がわかる。
  → 前下行枝と回旋枝にどちらにワイヤが入ったかわかる。
・前下行枝#6(中枢側)の病変は「RAO CAU」。
 = 病変が真横に見える。
  → DCAのときよく用いられる。
・「RAO CAU」は前下行枝 中隔枝が真下へ走行しているのが正面に見える。
・「LAO CRA」は前下行枝 対角枝が大きく見える。
・「PA CRA」は前下行枝 対角枝と中隔枝が両サイドに見える。
・「RAO CRA」は前下行枝 中隔枝が大きく見える。


※冠動脈のカタチは人によってそれぞれのため、見える角度は変わってきます。上記は一般的なものですので、患者さんに合わせて角度を見極めることが大切です。


今回は、「冠動脈造影ココがポイント!1・2・3」のうち1だけお話ししました。
次回までにまずは1だけを意識して冠動脈造影を見てみてください!

今回もお付き合いありがとうございました。

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プロフィール:野崎暢仁
新生会総合病院 高の原中央病院
臨床工学科 MEセンター
西日本コメディカルカテーテルミーティング(WCCM)副代表世話人
メディカセミナー『グッと身近になる「心カテ看護」~カテ出しからカテ中の介助、そして病棟帰室後まで~』など多数の講演や、専門誌『HEART NURSING』、書籍『WCCMのコメディカルによるコメディカルのための「PCIを知る。」セミナー: つねに満員・キャンセル待ちの大人気セミナーが目の前で始まる! 』など執筆も多数。