100文字以内で作られた問題文を読めば、答えになっている医療用語がサクッと覚えられる、学べる「クイズ100文字」。今回の問題文は……

Quiz 010

胸痛で救急搬入された患者さんの症状の原因の約50%は心臓と言われており、ほかに肺疾患や消化器疾患なども考えられます。では、胸痛のほか背中の痛みや痛みが移動すると訴える患者さん場合、どのような疾患を疑うでしょうか?




Answer 010










急性大動脈解離

救急の現場では急性冠症候群の診断も急ぎますが、そのほかの疾患の鑑別診断も急ぐ場合もあります。

そのなかでも急性大動脈解離は特に診断を急ぐものになります。特に、急性大動脈解離の場合でもST上昇などの虚血性心疾患を疑う場合があり、その見極めは大変重要となります。

ST上昇を認める要因として、大動脈解離が上行大動脈のみならず、その心臓側のバルサルバ洞にまで進展しており、特に右冠動脈まで及んでしまって右冠動脈の閉塞に至っているケースがあります。

「背中の痛み」「移動する痛み」「引き裂かれるような痛み」「激痛」などの訴えがあった場合には、急性大動脈解離も視野に入れ、まずは四肢の血圧を測定します。左右上肢下肢の血圧に15mmHg以上の血圧差があった場合は急性大動脈解離も疑い、CTなどで鑑別診断が行われることが多くなります。

そのほか、胸痛を訴え、呼吸器系に異常を認めた場合には、肺塞栓も視野に入れる必要が出てくるかもしれません。



図:『心カテのはなしをしましょうか』P44より



飛び交うワード



かいり・だいせく・AAD

和・表記:急性大動脈解離
英・表記:acute aortic dissection
読み:アキュート アオルティック ダイセクション



ばっくぺいん

和・表記:背部痛
英・表記:back pain
読み:バックペイン



ぴーいー

和・表記:肺塞栓
英・表記:pulmonary embolism
読み:プルモナリー エンボリズム







野崎暢仁

新生会総合病院 高の原中央病院
西日本コメディカルカテーテルミーティング(WCCM)副代表世話人

メディカセミナー『グッと身近になる「心カテ看護」~カテ出しからカテ中の介助、そして病棟帰室後まで~』など多数の講演や、専門誌『HEART NURSING』、書籍『WCCMのコメディカルによるコメディカルのための「PCIを知る。」セミナー: つねに満員・キャンセル待ちの大人気セミナーが目の前で始まる! 』など執筆も多数。

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