100文字以内で作られた問題文を読めば、答えになっている医療用語がサクッと覚えられる、学べる「クイズ100文字」。今回の問題文は……

Quiz 016

心筋虚血が起きると心電図のSTの部分が変化します。12誘導心電図では心筋虚血が起こった部分を監視している誘導に変化が現れますが、よく見ると心筋虚血が起こった部分でない誘導で、起こった部分とは反対の変化を示していることがあります。これを何現象というでしょうか?




Answer 016










ミラー現象・ミラーイメージ・鏡面変化(すべて同じ意味)

12誘導心電図は心臓を12方向から監視しています。心臓の前側の壁(前壁)、下側の壁(下壁)、側面の壁(側壁)、あらゆる箇所をそれぞれの誘導がしっかり監視していることになります。

心臓はラグビーボールのような球体の形をしているので表面があれば裏面もあります。そこで、例えば表面である前壁がダメージを受けた場合(前壁梗塞)、その裏面である下壁を監視している誘導も心電図変化するのです。

具体的には、前壁を監視しているV2から4誘導がST上昇を示せば、下壁を監視しているⅡ・Ⅲ・aVF誘導はSTが低下するのです。それがミラー現象と呼ばれる現象です。

心電図のST変化は心筋炎等でも変化をするのですが、このミラー現象を認めるのは心筋虚血の特徴的な変化なので、ミラー現象を認めたら心筋梗塞を疑うことができます。12誘導心電図を見るときは、派手な変化の誘導だけに目を取られがちですが、その他の誘導の変化も見るようにしましょう!



図:『心カテのはなしをしましょうか』P56より





野崎暢仁

新生会総合病院 高の原中央病院
西日本コメディカルカテーテルミーティング(WCCM)副代表世話人

メディカセミナー『グッと身近になる「心カテ看護」~カテ出しからカテ中の介助、そして病棟帰室後まで~』など多数の講演や、専門誌『HEART NURSING』、書籍『WCCMのコメディカルによるコメディカルのための「PCIを知る。」セミナー: つねに満員・キャンセル待ちの大人気セミナーが目の前で始まる! 』など執筆も多数。

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