100文字以内で作られた問題文を読めば、答えになっている医療用語がサクッと覚えられる、学べる「クイズ100文字」。今回の問題文は……

Quiz 018

急性心筋梗塞の緊急カテ時、心室細動はいつでも起こりうるため緊張感を持ってモニタリングが必要です。なかでも約8割の症例で心室期外収縮(PVC)が発生するとされている急性心筋梗塞は、心筋のどの部位の心筋梗塞でしょうか?




Answer 018










前壁中隔

急性心筋梗塞の状態は、どの症例でも、どのシチュエーションでも、不整脈などの合併症は発生します。そのなかでもダメージを受けている心筋の部位によって、発生しやすい合併症(不整脈)っていうのもあるんです。

例えば、心臓の前側と心室の中隔部分がダメージを受ける「前壁中隔心筋梗塞」は冠動脈でいうと前下行枝が養っている部分になりますが、前壁中隔梗塞の場合、約8割の症例で心室期外収縮が発生するといわれています。

約8割って相当ですよね。ほとんどの症例で心室期外収縮が発生するのです。心室期外収縮は心室細動を誘発する危険なサインになります。心室期外収縮が心臓の拡張期のタイミングで発生した場合、心臓がビックリして痙攣を起こしてしまうのです。これが心室細動のきっかけの一つです。

心室期外収縮が心臓拡張期に出るかどうかっていうのは決まりはありませんし、調節されるものはありません。それだけに心室期外収縮がいつ出るか、どのタイミングで出るかはわからないのです。心室期外収縮発生の頻度が上がれば上がるほど、拡張期のタイミングで心室期外収縮が発生する可能性は高くなるのです。

ちなみにこの現象は、心電図でいえば拡張期はT波の部分。心室期外収縮をR波として、T波の上にRが乗っかるということで、RonTと呼ばれています。

もう一度言います。前壁中隔の急性心筋梗塞では、心室期外収縮は症例の約8割で発生するといわれています。その心室期外収縮がきっかけで心室細動になることがあります。ということは、前壁中隔の急性心筋梗塞のときには心室細動により気をつけねばなりません。

では何に気をつけるのか? 心室期外収縮の発生とその頻度に注目し、発生した場合、その頻度が上がってくればなおさら、心室細動に対する構えが必要になるってことです。



図:『心カテのはなしをしましょうか』P59より





野崎暢仁

新生会総合病院 高の原中央病院
西日本コメディカルカテーテルミーティング(WCCM)副代表世話人

メディカセミナー『グッと身近になる「心カテ看護」~カテ出しからカテ中の介助、そして病棟帰室後まで~』など多数の講演や、専門誌『HEART NURSING』、書籍『WCCMのコメディカルによるコメディカルのための「PCIを知る。」セミナー: つねに満員・キャンセル待ちの大人気セミナーが目の前で始まる! 』など執筆も多数。

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