学生時代から国際協力に興味を持ち、在学時代に34カ国、現在までに62カ国を旅した。人より多く勉強して卒業した後は救急医療一筋に携わり、災害医療や国際協力にも力を注ぐ。初期研修医の頃に触れたシミュレーション医療教育にハマり、現在は救急指導医、社会医学系指導医(災害医学)、医学教育専門家の資格を持つ。2011年から現職。
(2020年執筆時点の内容です)
みなさん、こんにちは!日々楽しく生きてますか?人を楽しくさせるためには自分も楽しく過ごしていること、これが一番です!そして人と和やかに接するためにはピリピリ、トゲトゲせずに丸みを持てるようにしましょう!あ、丸みって言っても体型じゃないですよ!気持ちに丸みを持つんですよ!そんなちゃらんぽらん救急医の戯言、暇だったらご笑覧ください。
臨床:臨床をとことん楽しむ
臨床をとことん楽しみましょう!楽しむというと語弊があるかもしれませんが、この冊子を読んでいる人は救急大好きな人たちのはず(あ、間違っても医療業界以外の人に「救急、楽しい~」なんて言っちゃダメですよ。不謹慎だと思われるかも。真面目な顔して必死で取り組んでる感を出してください)。こんな場面、楽しくないですか?
・time to treatmentで患者さんの予後が変わるような場面でのtime management。
→F1レース(古い!)のピット作業のように、決まった時は爽快!
・複数の患者さんがいる時の、緊急度・優先度を考えた医療資源のmanagement。
→SASUKEの障害レースのように、複雑な状況をクリアした時は爽快!
・原因がすぐにわからない症例、背景が複雑な症例を診断するまでのmanagement。
→専門診療科がさじを投げた症例で診断がついて治療が奏効すると爽快!
・疾患/傷病だけではなく、生活背景まで考え、退院後の生活までのmanagement。
→患者さんの退院後の生活状況まで見通したプランが構築できると爽快!
・戦時体験のある患者さんからの経験の聞き取り
→時間の余裕がある時には色々体験談を聞かせていただいています。研修医になりたての頃はまだたくさん聞けたが、今が最後のチャンス……。
・異国から日本の救急外来に来た人たちとの交流
→言葉も通じないところで病気/ケガで来院した人たちは心細いもの。
情けは人の為ならず。不安を取り除き、笑顔で帰ってもらおう!
研究:救急診療は、臨床研究のネタの宝庫!
救急診療は、臨床研究のネタの宝庫です。救急診療の中で浮かんだ疑問をclinical questionとして書き出す習慣を身につけよう!そうすれば論文や研究の検索が簡単にでき、常に最新の知識や研究を見つけることができる。検索すれば立派な論文の一つや二つはすぐに出てくる。見つかった論文から、研究のデザイン、outcomeの設定など、基本的な要素を読み出す癖がつけば、自分が臨床研究を組む、という発想にも至るはず。あとは自らのclinical questionを研究として実行に移すだけ。問題は時間か……。
ところで論文を読むのに、英語が苦手……と忌避感を持っている人もいるかもしれない。でも論文に使われている英語なんてほとんど決まっているので、読み慣れれば大丈夫!まずはabstractだけでも読めば上記のような訓練になるし、トップジャーナルと言われる一流誌でも、単純なミスや、え?この程度で採用してもらえるの?なんて論文にもちょくちょく出会う。そうして論文や研究に対するハードルをどんどん下げていこう。
指導:指導や協働も楽しく、そして感謝の気持ちも!
若手に指導する場合に考えていることは以下の3つ。
・すぐに答えを言わずに、自ら考える習慣がつくように
→行動を指示する、質問された時にすぐに答えを示す、などは指導とは言わない。指導というからには対象者の能力を伸ばすように配慮しよう!
・今すでに持っている能力を把握し、それよりも少しだけハードルをあげる
→最初からハードルを高く設定しすぎると、ハードルを超えられずに潰れてしまう。今どれくらいの能力があるのかを常に観察しながら、少しずつハードルをあげよう!
・とは言っても、常に楽しく!
他職種・他診療科・他セクターと協働する上で考えることは以下の3つ。
・自らが結節点となりmanagementを行うつもりで
→調整役を引き受けてくれる人は少ないもの。managementを楽しもう!
・知らないことは素直に聞く
→他職種、他診療科、他セクターはそれぞれ自分にはない専門性を持って、それぞれの知識を提供してくれる。
・そして常に感謝の気持ちを持って
大学5回生の時。カンボジアにて。
人生
ちゃらんぽらんな戯言、最後まで読んでいただいた方へ。最後に、やっぱり自らの人生を楽しみ、豊かにしましょう!それが自らの人間力になってくるはず!
本コラムは『Emer-Log(エマログ)』の2020年年間購読限定の特典として刊行された『デキる救急医・救急看護師の3つの習慣』からの再掲載です。
チームで読める、救急看護の専門誌。二次救急や救命救急センターなど、さまざまな場での患者さんの評価、初療対応を取り上げます。救急看護を深めたいあなたへ、「自己学習」と「後輩指導」に役立つプラクティカルな知識をお届けします。
本誌:隔月刊/増刊:年2冊刊行
最新号 2023年2号
【特集】エビデンスがわかる!後輩指導に役立つ! 厳選 救急ガイドライン集
1 JRC蘇生ガイドライン2020:一次救命処置(BLS)
2 JRC蘇生ガイドライン2020:二次救命処置(ALS)
3 JRC蘇生ガイドライン2020:小児の蘇生(PLS)
4 JRC蘇生ガイドライン2020:急性冠症候群(ACS)
5 JRC蘇生ガイドライン2020:脳神経蘇生(NR)
6 外傷病院前救護ガイドライン(JPTEC)
7 外傷初期診療ガイドライン(JATEC)
8 外傷初期看護ガイドライン(JNTEC)
9 頭部外傷治療・管理のガイドライン第4版
10 急性腹症診療ガイドライン2015
11 急性膵炎診療ガイドライン2021
12 急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2018
13 急性中毒標準診療ガイド
14 日本版敗血症診療ガイドライン2020
15 ①熱中症診療ガイドライン2015
②新型コロナウイルス感染症流行下における熱中症対応の手引き(第2版)[医療従事者向け]
16 日本版・集中治療室における成人重症患者に対する痛み・不穏・せん妄管理のための臨床ガイドライン(J-PADガイドライン)
17 急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
18 2020年改訂版 大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン
19 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2017年改訂版)
20 ARDS診療ガイドライン2021
21 成人肺炎診療ガイドライン2017
22 脳卒中治療ガイドライン2021
23 救急・集中ケアにおける終末期看護プラクティスガイド
刊行:2023年3月
ISBN:978-4-8404-7972-1
▼詳しくはこちら