この連載は、英語の先生でも医師でもない、看護業務を知り尽くした現役看護師が医療現場で本当に使える英会話を紹介します。
検温、点滴、清拭、おむつ交換など医療現場で頻度の高い看護業務に焦点を当て、使えるフレーズを丁寧に解説します。
【看護師の看護師による看護師のための英会話:Episode5】は、「検温:サチュレーション編」です。
今日は外国人患者さんを受け持っています。
日本人の受け持ち患者さんの検温を終え、残るは外国人患者さんの検温です。
こんな普段の会話を英語にしてみましょう。
(血圧を測り終わったあと)
①「体の酸素の量を測りますね」
②「この小さな装置を指につけますね」
③「体の酸素の量は98%です。正常範囲内ですね」
~サチュレーションが低いとき~
④「体の酸素の量は88%です。かなり低いですね」
⑤「息切れや息苦しさはないですか」
⑥「すぐに酸素の投与が必要です。お鼻に酸素の管をつけますね」
①Let me take your blood oxygen level.
②I am going to put this small device on your finger.
③Your blood oxygen level is 98%. Your level is within normal range.
~サチュレーションが低いとき~
④Your blood oxygen level is 88%. It is quite low.
⑤Do you have any symptoms like shortness of breath or difficulty breathing?
⑥You need to start supplemental oxygen right away. I will put you on a nasal oxygen tube.
今日は、検温で使えるフレーズ⑤【サチュレーション編】「息切れや息苦しさはないですか」を深掘り解説します。
「息切れや息苦しさはないですか」は、「do you have any symptoms like shortness of breath or difficulty breathing?」を使いました。
症状を尋ねるときのフレーズは、「do you have any symptoms like~」です。
以前も紹介しましたが、英語は大事なことや結論を先に伝えます。
ここで一番知りたいのは、“症状があるかないか”なので、「do you have any symptoms」から始めています。
例えばどんな症状なのかを「like」の後に付け加えました。
では、症状をみていきましょう。
「息切れ」は、「shortness of breath」を使いました。
カルテには、頭文字をとって「SOB」という略語をよく使います。
「息苦しさ」は、「difficulty breathing」を使いました。
ほかにも「trouble breathing」「breathing difficulty」という言い方があります。
「shortness of breath」や「difficulty breathing」は、一般の方に使う呼吸困難の表現です。
「shortness of breath」や「difficulty breathing」に相当する医療用語は、「dyspnea(呼吸困難)」です。
「dyspnea」は、「p」は発音せずに「ディスニア」は英語に近い発音です。
さて今回は、呼吸困難を表す「shortness of breath」と「difficulty breathing」を紹介しましたが、患者さんがいつもこの表現を使ってくれるとは限りません。
息切れや息苦しさのある患者さんは、さまざまな表現を使って息が苦しいことを伝えてきます。
どんな言い方があるのか、少し紹介しましょう。
・I cannot get enough air.(十分に空気が吸えない)
・I cannot take a deep breath.(深く息が吸えない)
・I have air hunger.(空気が足りない)
・I cannot catch my breath.(息が吸えない)
日本語よりも英語のほうが「息が苦しい」という表現の幅が広いように感じます。
患者さんの「息が苦しい」という訴えを逃さないためにも、いろいろな言い方に触れておきたいですね。
そのほかの表現は、またの機会に紹介させていただきます。
いかがでしたか?
次回は、酸素投与をはじめましょう。
では、Let’s wrap it up for today. Have a good one.(今日はこのへんで、またね~)
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