この連載は、英語の先生でも医師でもない、看護業務を知り尽くした現役看護師が医療現場で本当に使える英会話を紹介します。

検温、点滴、清拭、おむつ交換など医療現場で頻度の高い看護業務に焦点を当て、使えるフレーズを丁寧に解説します。

現役看護師だから作れる【看護師の看護師による看護師のための英会話:Episode8】は、「病衣交換」です。

病衣交換は、一部介助から全介助まで、患者さんの状況に応じて看護技術を使いながら行う、頻度の高い看護業務の1つです。
一部介助が必要な病衣交換をEpisode8-1、全介助が必要な病衣交換をEpisode8-2に分けて紹介します。

今日は、点滴の入っている外国人患者さんの病衣交換です。
上下別のパジャマタイプの病衣を着ており、自立されている患者さんです。
患者さんに病衣交換の手順を伝えながら、スムーズにお手伝いできるといいですね。

こんな会話を英語にしてみました。

①失礼します。新しいパジャマをお持ちしました。こちらです、どうぞ。
②お手伝いは必要ですか? 自分で着替えられますか?
③点滴をしているので、パジャマの上着はお手伝いしますね。
④点滴の入っていないほうの腕の袖から脱いでください。
⑤まずは、袖に点滴を通しますね。
⑥点滴の入っているほうの腕から着てください。
⑦紐は自分で結べそうですか?お手伝いしましょうか?
⑧他は大丈夫ですか? もしお手伝いが必要なときは、ナースコールを押してくださいね。
⑨汚れたパジャマは、洗濯室にある回収袋に入れてください。

①Knock, knock. Can I come in? I brought your hospital pajamas. Here you are.

②Do you need any help? Are you able to put on and take off your pajamas on your own?

③You are on an IV drip. I am going to help you to take off and get on your pajama tops.

④Can you take off your sleeve from your non-IV arm.

⑤I am going to get an IV bag through the sleeve first.

⑥Can you put a top on from your IV arm?

⑦Are you able to tie this on your own? Would you like me to tie this for you?

⑧Is there anything else I can help you with? All right then, please press a nurse call button if you need a help.

⑨Please put your dirty pajamas in the humbler located in the laundry room.



今日は、病衣交換で使えるフレーズ①「失礼します。新しいパジャマをお持ちしました。こちらです、どうぞ」を深掘り解説します。

「失礼します」は、「Knock, knock. Can I come in?」を使いました。
直訳すると「(トントン)、入ってもいいですか?」です。

「失礼します」は、相手の時間や空間に配慮する日本独特の文化を持った言葉です。
あえて英語にする必要はありませんが、似た表現を使うとしたら「Can I come in?」がいいでしょう。


「新しいパジャマをお持ちしました」は、「I brought clean hospital pajamas for you」を使いました。
病院で提供される服は、「病衣=hospital gown」がもっとも一般的な英語です。
でも、「hospital gown」のイメージは、長くゆったりとした手術着なので、今回用意した上下別のパジャマタイプの病衣は、「hospital pajamas」がしっくりくるでしょう。
ここでいう「新しいパジャマ」は、新品ではなく「洗濯済みのパジャマ」を指しているので、「clean」を使っています。

「パジャマ」は、英語で「pajamas」です。よく似ていますが、2つ注意が必要です。

1つは、上下セットなので複数形です。
2つめは、発音です。

「pajamas」の「パ」ではなく、「ジャ」にアクセントを置いて少し伸ばす感じで、「パジャーマズ」が英語に近い発音です。


「こちらです、どうぞ」は、「here you are」を使いました。
「here you are」は、「どうぞ」や「こちらです」という丁寧な表現です。

似た表現に「here you go」があります。
似ていますが、こちらはよりカジュアルな表現で家族や友達同士、スーパーやコーヒーショップの店員さんなどがよく使っています。


いかがでしたか?
次回は、お手伝いが必要か尋ねてみましょう。


では、Let’s wrap it up for today. Have a good one. (今日はこのへんで、またね~)



佐藤まりこ
生まれも育ちも北海道。しかし、寒いのが苦手で大学卒業とともに上京し大学病院に勤務。さらなる暖かさを求めて2009年、米国・ロサンゼルスに留学し、翌年California RN(Registered Nurse) Licenseを取得。サンディエゴの総合病院で急性期病棟実習を修了後、内視鏡センターに勤務。帰国後は、看護師・医療通訳・医療翻訳を兼任しながら大学病院に勤務中。

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