この連載は、なかなか総合的に語られることが少ないIVR看護について、標準看護計画にあてはめてみることで、その価値と魅力を再考(・・)し、「やっぱりIVR看護って最高(・・)!」と読者といっしょにサイ発見するための試みです。




カテ室とよく似た“場の特徴”を持つ、手術看護に目を向けてみましょう。

日本手術看護学会は『手術看護業務基準』のなかで、手術看護記録基準について「看護計画を立案する」「看護実践を記録する」「手術経過を記録する」と記しています(図1)。つまり、看護計画に基づいた実践記録と経時記録の両方を手術記録として整えるよう示しています。


図1 日本手術看護学会における手術看護記録の位置づけ

そこで、一つ提案です!

IVRの看護記録も同じように考えてみてはいかがでしょうか?

IVRを受ける患者さんの看護計画を立案し、実践・評価を看護記録に残してみませんか。前編で述べたように、私たちはさまざまな看護実践を行っています。もちろん、これらを経時記録に残す方法もあります。なぜ、それでもなお「標準看護計画」をお勧めするのか。それは、患者さんへ術前オリエンテーションをする機会などに看護計画を開示することで、看護に関する説明と同意を得ることができるからです。

不安や緊張を抱える患者さんに対し、私たちがどのような方法で看護を提供したいと考えているかを伝え、協力を得ることで、患者さんの検査・治療への参画が期待できます。その過程において信頼関係が生まれ、不安や緊張の表出につながり、個別的のある看護実践を計画できるようになるでしょう。また、私たちIVR看護に携わる看護師の看護実践が可視化されることで、病棟との継続看護の強化につながるのではないでしょうか。

ただの検査・治療介助に終止しない「IVR看護の専門性」を示す方法の一つとして、標準看護計画を活用してみませんか? 次回からは、IVR看護においてよくみられる看護問題ごとに、標準看護計画を考えていきます。

▶「#002|IVR看護記録の課題:前編」を読む

【参考文献】
1)公益社団法人日本看護協会.看護記録に関する指針.平成30年5月.
https://www.nurse.or.jp/nursing/home/publication/pdf/guideline/nursing_record.pdf




村瀬早苗
華岡青洲記念病院
クリティカルケア認定看護師/看護副部長

IVR看護好きな仲間とIVR看護について語り合う時間が大好きです。言葉にすると漠然とした思いが具体的になって、何でもできそうな気持ちになるからです。「IVR看護の世界にもっと標準看護計画を広めたい」と思ったのも仲間との会話からでした。本連載『IVR看護サイコウ』を仲間と語り合うきっかけにしていただけると幸いです。

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