今回は前回につづき、「在宅用人工呼吸器輸入販売企業さんと呼吸療法の困りごとを話そう!」をテーマに開催した第2回KIDS Home Care Device研究会において、参加企業さんとご家族の立場からお話しいただいたことをご紹介します。
自分好みのシールでデコレーションできる人工呼吸器
参加企業はチェスト株式会社さんで、在宅用人工呼吸器を担当しているベンチレーター事業部の方が事業紹介をしてくださいました。この事業部では2019年からハローキティちゃんがスペシャルサポーターとして活躍しています(図1)。
スウェーデン生まれのViVOシリーズの人工呼吸器を取り扱っており、新機種のViVO45は日本の環境に合わせた小型の在宅用人工呼吸器になります。内蔵バッテリーで9時間も使えるそうです。
そして、本体はデコレーションシールで着せ替えできて、6種類のなかから好きなデザインを選べます。キティちゃんもデコレーションシールになっており、こちらも4種類もあります。これは、お子さんたちが日常的に使う機器で、少しでもおうちでの生活を楽しくしてもらえたら、という思いからだそうです。
ご家族から「こんな呼吸器や周辺機器が欲しい!」
チェスト株式会社さんからの会社紹介の後、「こんな呼吸器・周辺機器が欲しいんです!」と題して、立場の異なる4名の方にご発表いただきました。
まずは、ご家族の立場から福元真紀子さんの発表です。呼吸器っこのグループから、在宅用人工呼吸器への希望をまとめて発表いただきました(図2)。
ほかにも、以下のような意見があがっていました。
①トリロジーの水の減りの多さにビックリ。アストラルに変えたら水の減りが激減した!
②カテーテルマウントが大きくて顎にあたってしまう
③呼吸器の操作画面が上向きでタッチパネルのため物が置けない
④タッチパネルは少し物が触れるだけで変わってしまい不安
⑤回路が長く重い
⑦カテーテルマウントが固くて扱いにくい
⑧呼吸器の音がうるさい。機種による違いがある
⑨加温加湿器の警報が鳴り過ぎる
⑩小型かつバッテリーで作動する加温加湿器が欲しい
⑪お風呂やプールで使える人工呼吸器が欲しい
などでした。
ご家族の立場からはもう一人、綾 崇さんが発表されました。お子さんのゆうた君とお母さんも参加してくれました。
たくさんのお出かけをしている綾家には、外出に適した機器が必要であることをお話しいただきました。
①お出かけ用のポータブル吸引器は市販の鼻水吸引機ベベキュアを使用。吸引圧が弱いけれど、サイズの小ささがほかのものでは変えられないということで使っている
②パルスオキシメータはネルコア社製を病院より貸与されているが、お出かけ用も同じプローブが使用できるように同社のハンディタイプを購入して使っている。しかし、電池の持ちが悪い
③車いすにはすべての医療機器を載せ、バッテリーも3個積んでいて20時間ぐらいは使える
④1日のお出かけであれば、車いすに載せている機器だけでどうにかOK
⑤新幹線の多目的室に車いすは入らない
⑥寝台特急では、狭い部屋に車いすも入れなければならないのでバラバラに分解している
⑦飛行機では酸素ボンベを借りなければならず、使っていなくても3時間だと3万円を自腹で支払っている
⑧予備用の人工呼吸器も持参して飛行機に持ち込むため、荷物が多く、とっても大変~!
⑨ホテルのお風呂は温泉付きの部屋に泊まって、水に濡れないように洗い場の台の上に人工呼吸器を置いて入った(図3)
⑩残念ながらプールには入れない
⑪防水は大事。雨の日は車いすの下に人工呼吸器を置くと、水の跳ね上がりなどがあるので対応して欲しい
などなど、ご旅行などの移動において、医療機器で改善して欲しいことをお話しいただきました。どれだけ医療機器があっても、たくさんお出かしている綾家。本当にすごいな~と思いつつ、これが普通のことのように誰もができる社会になるといいですよね。
いろんなご家族の本音?の話を直接聞くことができるのが、この研究会の楽しみでもあります。今後開催する研究会も、ご家族(ご本人も含めて)のお話しが聞けるような研究会にしたいと思います。
研究会レポートPart3では、医療者からの発表を報告します。
KIDS CE ADVISORY代表。小児専門病院で35年間働き、出産から新生児、急性期、 慢性期、在宅、ターミナル期すべての子どもに関わった経験をもつ臨床工学技士。メディカ出版のセミナー講師も務め『完全版 新生児・小児のME機器サポートブック』などの著書がある。KIDS CE ADVISORYのHPは▶医療コンサルタント | Kids Ce Advisory