みんなの関心が高い「在宅用人工呼吸器」

2022年3月12日(土)
「在宅用人工呼吸器輸入販売企業さんと呼吸療法の困りごとを話そう!」をテーマにして、第2回KIDS Home Care Device 研究会が開催されました。

今回は開催の広報を行った直後から参加申し込みが殺到し、定員を軽く超える105名の事前申し込みがあり、うれしい悲鳴でした。
在宅用人工呼吸器に対して、とても関心が高かったのだと思います。
そして、ご参加できなかった方々には申し訳ありません。今後、より多くの方が参加できるような方法を考えたいと思います。

今回、ご参加いただいた企業は、チェスト株式会社さんです。
呼吸機能の測定器を古くから扱われており、現在は、BREAS社製の在宅用人工呼吸器を輸入販売・レンタルしています。ViVO(ビボ)という名前の人工呼吸器を聞いたことがある方もいるかもしれませんね。

当日の研究会は下記(図1)のスケジュールで進行しました。

第1回の研究会が30分も超過してしまったので、今回は最初から1時間半の時間を取りましたが、やっぱり15分のオーバーの熱い研究会となりました。

開会の挨拶では、筆者から簡単に研究会の発足の経緯(#001「KIDS Home Care Device 研究会とは何ぞや?」参照)に触れました。

人工呼吸器、院内用と在宅用ってどれぐらい違うの?

ミニレクチャーでは「人工呼吸器・院内用と在宅用の違い」として、在宅用人工呼吸器はICU用人工呼吸器より扱いが難しいこと、どちらの人工呼吸器でも多用途の呼吸療法ができる時代になったことを説明しました。

ここでいう多用途とは、挿管による人工呼吸やNPPV、n-CPAP、HFNC(ハイフローセラピー)、酸素療法などを指します。

ICUで使用される呼吸療法機器には専用器があり、いわゆる人工呼吸器は挿管による呼吸管理で使用され、NPPVやHFNCは専用の装置が使用されることが多いです。

しかし、在宅用人工呼吸器では、挿管(TPPV〈気管切開による呼吸管理〉)だけでなく、NPPVやHFNC、マスクCPAP、マウスピースによる呼吸管理が1台の人工呼吸器で行われます。

換気モードも多様で、そのモードの呼び名も各メーカーで異なっており、同じような換気モードでも、各メーカーでアルゴリズムが違うために同じ動きはしません。 これに加えて多数の呼吸器回路が使用できるので、図を見ていただくとわかるように難しさのレベルがかなり上がっています(図2)。

そして、パッシブ回路とも呼ばれるシングル回路+呼気ポートの組み合わせで、在宅TPPVが行われることが多くなりました。

ICUでは挿管で使用されない呼気ポートの回路ですが、在宅人工呼吸療法ではごく当たり前に使用されるようになりました。

このきっかけを作ったのは、レスピロニクス社(現:フィリップス社)のトリロジーという人工呼吸器の販売です。この人工呼吸器は、販売と同時にカフ付きの気管チューブにも適応とし、その後、カフなしの気管チューブで小児でも使用可能と示したため、回路がシンプルなこともあり急速に小児においても増加していきました。

でも、呼気ポートってICUではNPPVでしか使用されないんですよね。これは、誰もが急性期の治療には合わないということを知っているためです。でも、この矛盾に反して呼気ポートが主流になりました。

そして、1,000万円を超えるICU用人工呼吸器と300~400万円の在宅用人工呼吸器でどちらが性能が良いの?って考えたら、それはもう、1,000万円のICU用人工呼吸器の性能のほうが上に決まっているんです。

在宅用人工呼吸器をICU用人工呼吸器と同じ設定にしたのに合わない!とよく相談されるのですが、これは合わなくて当たり前といえます。NICUで使用していたICU用人工呼吸器から、パッシブ回路の在宅用人工呼吸器に変更したときにどんな違いがあるのかを図3に示します。

どうでしょう? 違いがめちゃくちゃありますね!

患者さんに合った人工呼吸器選びや設定の変更を!

ですから、ぞれぞれの在宅用人工呼吸器の性能や性格(男の子っぽいとか、女の子っぽいとか、大人しいとかおてんばとか)を考えて、患者さんに合った在宅用人工呼吸器を選ぶことや換気モードの選択や設定を考えないといけないのです。

パッシブ回路で一番考えないといけないことは、加温加湿が低下しやすいこと、そして、カフなしの気管チューブを使用する小児では気管リークがあるため、気管分岐部に多量のガスが吹き付けられて、分泌物を固くしてしまうことです(図4)。

分泌物管理なくして在宅呼吸療法なし!

というのは、第1回研究会のポータブル吸引器のときにもお話ししました。

適した加温加湿器の選択と患者さんの分泌物の状態に合わせた設定、これは、在宅という環境を十分に考えて行わなければいけません。

それでも十分な分泌物管理ができない場合には、呼気弁のタイプ(アクティブ回路)を変更する必要があるといったことを、しっかりお話しさせていただきました。

次回は、チェスト株式会社さんのプレゼン以降についてご報告致します。

新型コロナ病棟ナース戦記

松井 晃
KIDS CE ADVISORY代表。小児専門病院で35年間働き、出産から新生児、急性期、 慢性期、在宅、ターミナル期すべての子どもに関わった経験をもつ臨床工学技士。メディカ出版のセミナー講師も務め『完全版 新生児・小児のME機器サポートブック』などの著書がある。KIDS CE ADVISORYのHPは▶医療コンサルタント | Kids Ce Advisory