今回は、2022年10月22日(土)に行われた、第4回のテーマ「在宅酸素製造企業さんと呼吸管理の困りごとを話そう!」のご報告、PART②です。

第4回のスケジュールは下図のとおりです。



PART①に引き続き、フクダ電子株式会社さんのグループ企業で、在宅医療で全国展開しているフクダライフテック株式会社さんの「3.在宅酸素装置製造企業さんからのプレゼン」から報告します。

フクダ電子さんといえば、医療者の誰もが知っている国産医療機器製造会社の老舗企業です。
在宅酸素療法をはじめとする在宅医療に特化したフクダライフテックさんは、365日24時間のサービス体制を持ち、緊急時・災害時の対応などきめ細やかなサポートを行っています。その拠点は120カ所、災害時用の酸素ボンベ備蓄拠点は20カ所で、随時拠点を増やしています。また、衛星電話の拠点を32カ所持っています。

在宅医療機器は、主に在宅酸素療法機器、在宅人工呼吸療法機器、睡眠時無呼吸症候群に対する機器、心不全患者領域に使用する呼吸サポート機器を扱っています。
酸素濃縮装置は、1985年から取り扱っており、携帯型から据え置き型まで、酸素流量は0.1L/分~10L/分で対応できるようになっています。
特に0.1L/分を設定できる酸素濃縮器は、小児の患者さんに多く使用されています。

その他、酸素ボンベ、呼吸同調器、酸素療法のカニューレなどのデバイスも準備しています。
さらに、「f’Rens(フレンズ)」という、治療・検査機器の在宅使用状況がWebで確認できる、クラウドを活用した在宅医療診療支援システムを持っています。この遠隔モニタリングシステムは、国が進めている地域完結型医療の実現をサポートしています。
「f’Rens」内にある在宅酸素療法に特化している「在宅酸素療法 HOT ほっとけあらいん」では、パルスオキシメータのデータまで保存できるようになっており、継続的な管理ができます。

次は、「4.こんな在宅酸素装置が欲しいんです!」と題して、立場の違う4名の方に自由な発想で希望を発表いただきました。

まずは、①訪問看護師の立場から、NPO法人にこりの代表の松丸実奈さんの発表です
NPO法人にこりは、「子どもの願いをかなえる」チームとして、さまざまな取り組みを行っています。



松丸さんたちの希望は、以下のような在宅酸素装置です。
1)酸素ボンベが空になってもわからないから、アラームが鳴ってほしい
2)流量計の交換の必要のない、酸素ボンベのタイプに全部変わっていってほしい
3)酸素濃縮器は電源を入れた後に、酸素が作られるのに時間がかかるので、電源を入れたと同時に使用できる酸素濃縮器を作ってほしい
4)液体酸素を使用している子どももいるが、とても使い勝手が良いという意見はあるものの、小型化や軽量化できたら良い
5)海に行ったりするが、水に濡れても大丈夫な製品がほしい
6)お出かけを想定したり、家族支援法(医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律)によって学校での生活も増えるため、活動しやすい装置の開発をお願いします
7)子どもの願いをかなえるために、花火をやったり、バーベキューをやったりすると、酸素濃縮器を使用してはいけない環境になる。いけないことだと思いつつ行っているが、そんな願いを安心してかなえられる装置を作ってほしい
というものでした。

次に、②学校看護師の立場から、野津美鈴さんからの希望は以下の通りです

●特別支援学校では、酸素ボンベや酸素濃縮器など、家庭と同じものをできるだけ使用することにしているため、学校で酸素を使用するにあたっては、それぞれの子どもに合わせたデザインのかわいらしさもあって、自分の一部として持ち歩けるものにしてほしい。
●200名を超える児童数の状況において、スペシャルニーズに対応できる装置を開発してほしい。また、広い学校では、移動が本当に大変です。



●また、学校には予備ボンベも準備していますが、基本は学校では交換しないことが原則で、毎日、子どもたちは満タンのボンベをもって学校に来ます。 家にはたくさんの残量が残ったボンベがあると思うし、ボンベの管理は大変なので、改善が必要と考えます。

●先日の修学旅行では……
子どもたちにとって、はじめて家族と離れての1泊旅行!
新型コロナウイルス感染症の流行のため、事前に酸素濃縮器をホテルに設置できないということで、大きな酸素濃縮器や酸素ボンベを職員が担いで持って行きました。 この経験からも、やっぱり軽いものがいい!
軽いものもあるけど普及していません。
そして、バッテリーは長持ちするものがいいです。

●究極の希望として、Bluetoothで動く酸素装置が欲しい。
鼻のところに装置をつけるだけで酸素が供給できたらいいですよね~。
看護師が関わる時間を減らせるため、SpO2に同調して酸素の量が変わるものもあったらいいと思います。

以上、ケアにかかわる方たちから「4.こんな在宅酸素装置が欲しいんです!」の前半報告でした。




新型コロナ病棟ナース戦記

松井 晃
KIDS CE ADVISORY代表。小児専門病院で35年間働き、出産から新生児、急性期、 慢性期、在宅、ターミナル期すべての子どもに関わった経験をもつ臨床工学技士。メディカ出版のセミナー講師も務め『完全版 新生児・小児のME機器サポートブック』などの著書がある。KIDS CE ADVISORYのHPは▶医療コンサルタント | Kids Ce Advisory