今回は、2023年3月25日(土)に行われた、第5回のテーマ「在宅経管栄養デバイス製造企業さんと栄養管理の困りごとを話そう!」のご報告、PART②です

PART①に引き続き、「4.こんな在宅経管栄養デバイスが欲しいんです!』について、①訪問診療医の立場から、あおぞら診療所うえのの院長の戸谷 剛先生から発表していただきました

「在宅経管栄養と注入ポンプ NEXT!」と題して、戸谷先生の考える経管栄養ポンプについて要望がありました。

●粘度の高い栄養剤への対応
●特にミキサー食に対応できるポンプ
●注入速度をプログラミングできるポンプ
●遠隔でモニタリングできるポンプ(おかしいな? を教えてくれる)
●注入抵抗に対応できるポンプ
●目の動きやスイッチで、自分で投与調整ができるポンプ
●温度調整ができるポンプ(特に冬場、消化管における発酵不良を起こして下痢になる)

その他
●小児経管栄養のきっかけ
●昨今の栄養剤の変遷
●経管栄養療法の困難~脳腸相関の立場から~、最近話題のSIBO(小腸内細菌異常増殖)やFIGD(機能性消化管障害)について
●栄養の偏りについて(図1



●離乳食とたんぱく質について
●微量栄養素について
●上部消化管の立場から
●消化管の発酵環境の立場から

以上のような、新しい経管栄養の考えかたについてお話しいただきました。
とても興味深いお話に感銘を受けました。

次に、②訪問看護師の立場から、株式会社ピースコネクト(Daisy MUSE)の佐藤彩那さんより、「もっとハッピーな在宅経管栄養のために」と題してお話をしていただきました

1)管理について
・チューブがしっかりと洗浄できない
・注入後の毎回の洗浄
 → 一生で何回洗浄するの?
・きちんと洗浄できているの? という迷いがある
 → イライラ
 → 面倒くさい
・食洗器のような専用の洗浄・消毒できるものがほしい
・ボトルやチューブに記入した開封日が、消えないような工夫がほしい
・チューブや胃ろうの蓋の汚染が心配。蓋が清潔に保てる工夫がほしい
2)ケアについて
・粉薬がしっかり溶けずに詰まる
 → 詰まるかも……、という不安をもちながらの投薬はストレスになる
 → 粉薬がしっかり溶かせる撹拌かくはん機のようなものがほしい
・チューブを顔に固定するテープによる肌荒れ
 → チューブやテープをじろじろと見られないような工夫がほしい
 → チューブを患者さんに抜かれない工夫がほしい
 → テープの剝離剤もほしい
3)豊かな生活のために+α
・注入はごはんである
 → 温かいごはんやミルクをあげたい
 → 魔法瓶のボトルやウォーターサーバーのような経管栄養製造機と保温器
・夜中3時の注入がつらい
 → 炊飯器予約システム
 → ウォーターサーバーシステム
・ポンプはずっと子どもと家族のそばにいるパートナー(図2
 → 楽しく注入できるポンプがほしい!
 → ブザーでなく好きな音楽が鳴る
 → 読み聞かせしてくれる
 → 同じ時間にご飯中のお友達と繋がれる
 → 成長記録ができる
 → アプリと連動するなど、スマホで操作できる
 → おいしいごはんの匂いがするポンプ



こんな楽しくなるような、お話をしていただきました。
在宅医療を、楽しく過ごせるように看護にあたられている日々が感じられる内容でした。

次回は、「こんな在宅経管栄養デバイスが欲しいんです!」の後半戦の報告をします。




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松井 晃
KIDS CE ADVISORY代表。小児専門病院で35年間働き、出産から新生児、急性期、 慢性期、在宅、ターミナル期すべての子どもに関わった経験をもつ臨床工学技士。メディカ出版のセミナー講師も務め『完全版 新生児・小児のME機器サポートブック』などの著書がある。KIDS CE ADVISORYのHPは▶医療コンサルタント | Kids Ce Advisory

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ISBN:978-4-8404-7888-5

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