2023年3月25日(土)
『在宅経管栄養デバイス製造企業さんと栄養管理の困りごとを話そう!』をテーマに、第5回 KIDS Home Care Device 研究会が開催されました!

今回の参加お申し込みは、80名になりました。
在宅医療の中でも、多くの方が行っている在宅経管栄養ということで、多くの方にご参加いただけたと考えております。

今回ご参加いただいた在宅経管栄養製品の製造企業は、ニプロ株式会社さんです。
在宅経管栄養においてたくさんのデバイスを製造されており、多くの患者さんやご家族を支えています。

研究会は下記(図1)のスケジュールで進行しました。



今回の司会は、岩手病院・臨床工学技士の及川秋沙さん。
第1回、第2回目に続き、今回も大変スムーズな進行をしていただきました。

1.開会の挨拶は、筆者である松井が務めました。
研究会の発足の経緯を伝えるとともに、参加されたみなさんと近未来的なデバイスの開発アイデアを期待していることをお話ししました。
研究会の発足の経緯は以前のメディカLIBRARYをお読みください。

2.最初のプレゼンは、ニプロさんに『在宅経管栄養に関するデバイスの紹介と取り組み』についてお話いただきました。
ニプロさんは、栄養ボトルからカテーテルまで一連のデバイスを製造販売していますので、それぞれの製品について説明していただきました(図2)。



●「経腸用輸液セット』:ボトルとの接続をより確実に、より簡単にできるような製品の開発に取り組み、ボトルやRTH製剤(封を開けてつるすだけで投与することができる、経腸栄養剤)との接続をワンタッチで行えるようにしています。
●経腸栄養バッグ:形状記憶プラスチックを使用した栄養バッグになっています。形状記憶プラスチックを採用することで、広い開口部が作れる栄養バッグになっています。
●院内で使用される経腸栄養ポンプ:専用の部材を使用せず、ローラークランプ(クレンメ)を利用して、ポンプのドアを閉めるとローラークランプが開放し、ドアを開けるとローラークランプが閉まるような構造にし、製剤のフリーフローの防止ができるようになっています。
●経腸栄養チューブなどのコネクタ:国際規格により変更になりました。コネクタ部に栄養剤が残ってしまうことに対して、コネクタの外側を動かせるようにして、コネクタの先端を清潔に消毒できるように改良されています。
●接続のアクセサリー:シリンジで水を流していくときに水流を利用してコネクタの洗浄ができる構造をもっています。
●経鼻カテーテル:スライドカプラ式の洗浄しやすいコネクタを有したもので、専用のデバイスを使用しない洗浄が可能になっています。

国際規格と旧規格のものが存在するため、各種変換のコネクタやチューブを用意しています。
新生児用の採液アダプターは、デッドスペースを少なくすることや、直接口腔内に注入しても、口腔内を傷つけないように柔らかい材質で、先端を丸くしたものを製造しています。
経鼻用の固定テープについても、シンプルに貼れて、剥がしやすい専用テープが準備されています。
さらに、ここでは割愛いたしますが、発売予定の在宅用の小型の経腸栄養ポンプについても説明いただきました。

3.ミニレクチャーは、『ミニレクチャー&こんなのが欲しい!』という題で、筆者から下記についてレクチャーいたしました。
・なぜ気管栄養が必要なのか
・摂食嚥下障害の要因
・摂食嚥下障害の症状
・摂食嚥下障害の重症度別対応
・経管栄養療法の導入を考慮するとき
・経管胃チューブの挿入方法
・確実な経管胃チューブの先端の位置確認
・経管胃チューブの空気注入音の確認困難の原因
・胃ろう造設の適応
・経管胃チューブと胃ろうの利点と欠点
・経管栄養に使用される物品の名称と接続部
・誤接続防止コネクタ(国際規格)の導入について
・旧型のコネクタデバイスを残してほしいという要望について
・旧型のコネクタデバイスを残すという厚生労働省からの通達
・旧型のコネクタデバイスを残すための変換コネクタについて
・栄養剤の種類(医療品タイプと食品タイプ)
・経管栄養の診療報酬について(在宅小児経管栄養法指導管理料、在宅経管栄養法用栄養管セット加算、注入ポンプ加算)
・なぜ時間をかけて注入しなければいけないの?
・経管栄養ポンプの必要性
・経管栄養ラインの問題点
・注入回数の問題点
・栄養剤の温度低下による問題点と温度上昇による栄養剤の腐敗について
・経管栄養用加温器について

「こんな経管栄養システムが欲しいよ~」ということで、長時間放っておいても、自動的に経管栄養を行ってくれるシステム(図3)を要望いたしました。



研究会PART②では、訪問診療医の立場から、訪問看護師の立場から『こんな在宅経管栄養デバイスが欲しいんです!』について、ご報告いたします。




新型コロナ病棟ナース戦記

松井 晃
KIDS CE ADVISORY代表。小児専門病院で35年間働き、出産から新生児、急性期、 慢性期、在宅、ターミナル期すべての子どもに関わった経験をもつ臨床工学技士。メディカ出版のセミナー講師も務め『完全版 新生児・小児のME機器サポートブック』などの著書がある。KIDS CE ADVISORYのHPは▶医療コンサルタント | Kids Ce Advisory

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定価:5,500円(税込)
刊行:2022年8月
ISBN:978-4-8404-7888-5

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