今回は、2023年3月25日(土)に行われた、第5回のテーマ「在宅経管栄養デバイス製造企業さんと栄養管理の困りごとを話そう!」のご報告、PART③です。

PART②に引き続き、「4.こんな在宅経管栄養デバイスが欲しいんです!」の後半戦です。

まずは、③デイケア看護師の立場から、多機能型重症児デイサービスkokoro代表の紺野昌代さんより発表していただきました(図1



最初に、“最近起こった、栄養剤が注入されないトラブルについて”報告がありました。
注入ラインの再使用による詰まりなどが原因ではないかと思いますが、再使用してもトラブルが起こらない注入ラインの必要性を訴えられていました。

「あったらいいな」ということで、下記の要望をあげられました。
●本体の軽量化
●色だけでもかわいいものがいい
●本体にフックがほしい
●注入ラインのセッティングがしやすいものがよい
●再使用しやすいシリンジ

毎日、実際に使用されている身近な困りごとと、改良点についての発表でした。

次に、④ご家族の立場から、“せなちゃんのお父さん”より発表がありました
まずはせなちゃんのご紹介から。
ご両親とお姉ちゃんとせなちゃんの4人家族。
9カ月のときに脳腫瘍が見つかり、経管栄養で過ごしていましたが、1歳のときに脳出血が起こり、目を開けることはなくなりました。

お出掛けが大好きで、「次はどこ行く?」といつも話していて、おうちで楽しいことをして過ごしているご家族です。
お出掛けは大好きなのですが、お出掛けにはたくさんの荷物(人工呼吸器、加温加湿器、酸素ボンベ、吸引器、パルスオキシメータ、バッグバルブマスク、消毒、手袋、ポータブル電源などなど。それに合わせて家族の荷物)を持って行くことが大変とのことでした。
少しでも小さく、少なくできる荷物になることを要望されていました。
体温調節が難しいせなちゃんは電気毛布が必要で、パルスオキシメータと電気毛布の電源が最優先です。電源確保がお出掛けで困ることだともお話しされていました。

お出掛け中の経管栄養は自然滴下で行っていますが、車の天井が低いため、滴下しにくいので、自動で調節できるポンプがあったらいいな~ということです。
経管栄養ポンプは電源の確保ができないため、採用できていないとのことです。
こんな状況において、指につけるパルスオキシメータくらいにコンパクトで、コードレスの経管栄養ポンプがあれば良いのに……、という希望を話されました。

お姉ちゃんの“みれいちゃん”も、せなちゃんについてたくさん考えているとのことで、夏休みの宿題で賞をとった作文を、みれいちゃんご自身が読んで、紹介してくれました。
下記に掲載いたします。







参加者の皆さんが涙する、とっても感動するみれいちゃんの作文でした。
みれいちゃんはいつも幸せな未来を願っています(図2)。



せなちゃん、ありがとう!
みれいちゃん、ありがとう!
せなちゃんのご家族、ありがとう!

この研究会は、医療的ケア児のご家族から直接お話を聞ける、とても素敵な研究会です。
本当に、この研究会を作って良かったなと感じました。
こんな言葉が、たくさんの方に伝わり、少しでも良いデバイスが作られることを願っています。




新型コロナ病棟ナース戦記

松井 晃
KIDS CE ADVISORY代表。小児専門病院で35年間働き、出産から新生児、急性期、 慢性期、在宅、ターミナル期すべての子どもに関わった経験をもつ臨床工学技士。メディカ出版のセミナー講師も務め『完全版 新生児・小児のME機器サポートブック』などの著書がある。KIDS CE ADVISORYのHPは▶医療コンサルタント | Kids Ce Advisory

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▼プログラム 【収録時間:約130分】
#01 酸素と二酸化炭素 〜肺胞の中でどのように移動しているか?
#02 なぜ小さな赤ちゃんにとってPEEPが重要なのか?
#03 換気モードのお話〈前半〉 IMVとCMV・SIMV・A/C
#04 換気モードのお話〈後半〉 CPAP・PSV・HFO
#05 フロー波形を見て同調性を極めよう!
#06 グラフィックモニタとトラブル対応
#07 ファイナルテスト 〜この波形、どう考える?

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小児在宅人工呼吸療法マニュアル 第2版


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著者:
一般社団法人日本呼吸療法医学会 小児在宅人工呼吸検討委員会 編著
岐阜県総合医療センター 新生児内科 寺澤 大祐 監修
神奈川県立こども医療センター 新生児科(非常勤) 松井 晃 監修
神戸百年記念病院 麻酔集中治療部/尾﨑塾 尾﨑 孝平 監修

定価:5,500円(税込)
刊行:2022年8月
ISBN:978-4-8404-7888-5

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