2023年11月23日(木・祝)開催!






十枝内綾乃
株式会社Tomopiia CNO (Chief Nursing officer)

看護師免許取得後、大学病院で精神科、老年病科を経験、企業の健康管理室勤務等を経て 約400床の総合病院に入職。看護師長として透析センターの立ち上げ、腎内分泌内科病棟師長を経験し、同病院で副院長兼看護部長を務める。看護師の採用業務など院内の幅広い業務に従事。2019年より、当プロジェクトへアドバイザーとして参加し、現在はCNO (Chief Nursing officer)として活動中。



患者さんとの対話機会は減っている

『患者さんの話をじっくり聴いてあげたい』そう願わない看護師はいないでしょう。

しかし、現状は入院期間の短縮、医療の高度化、患者の高齢化、安全対策、そしてコロナ渦……。現場で働く看護師たちにとって、患者さんとの対話の機会は残念ながら減る一方です。

私が看護師になったころ、3カ月入院されている患者さんはたくさんいらっしゃいました。そのため、いまように看護学生の実習中に担当患者さんが退院してしまうということも少なかったので、一つの病棟での実習が終了し、続いて他の病棟での実習中に以前担当した患者さんに会いに行くなんてこともありました。

しかし、現在はどうでしょう。プライマリーナースとなって入院時対応したものの、ほとんど話もしないまま患者さんが退院してしまう、なんて経験も多いのではないでしょうか?

『退院支援の充実』『入院時から退院時を意識したかかわり』が大切といわれても、実際は、入院中の患者さんことを把握して、入院中に安全に医療が行われることが最優先され、結局、退院後のことは医療ソーシャルワーカーさんに委ねる、ということも少なくありません。

ベストだけど埋めきれないすき間

いま、看護師に現場で求められることは、いかに効率的に端的に患者さんのニーズを把握し、援助につなげられるかです。できるだけ簡潔に患者さんの思いをくみ取り、必要なことを簡潔に伝えるというスキルが求められ、患者さんとゆっくりおしゃべりを楽しむ余裕などありません。

看護師はそのようなスキルを身につけますが、一方で患者さんはどうでしょうか? 自分のなかでしっかり優先順位を決め、伝えたいことが伝えられる患者さんがどれほどいるでしょうか?

患者さんがそのような状況にあったとしても、治療や今後の生活に必要な最低限の情報は医師や看護師、メディカルスタッフから伝えられ、退院調整は行われます。現在の仕組みのなかではそれが限界であり、それがベストであるとも言えます。

退院後は、がんの患者さんでいえば、相談窓口、訪問看護、患者会……さまざまなサービスがありますが、患者さんの抱えている思いにはそれらのサービスでは埋めきれない“すき間”があることがTomopiiaで行っている対話を通じて見えてきました。

次回はその“すき間”とは何か?についてお話しします。

セミナー開催のお知らせ



患者さんの話を「聴く」ってどういうこと?
~文章による対話から、すべての看護師の「聴く」を考える~


【10:00~10:50】
講演1:患者さんの言葉の蛇口をひらこう
~SNS看護での患者さんとの対話を通じて見えたこと~

十枝内綾乃(株式会社Tomopiia 執行役員 看護師〔Chief Nursing officer〕)

・正しい看護師ほど患者さんの本当の悩みが見えなくなる
・文章コミュニケーションにおける言葉の役割
・SNS看護という新しい世界での「聴く」と支援
・場所・場面にこだわらない新しい看護(SNS看護の特徴、メリット、利用者様の声)
・SNS看護での気づきが日々の看護を変える
・SNS看護の未来

【10:50~11:50】
講演2:4000人のがん患者と対話した精神科医が教える死を意識した患者との向き合い方
清水 研(公益財団法人がん研究会 有明病院 腫瘍精神科部長 医学博士)

・がん患者さんの心理
・患者さんの話を「聴く」側の医療者の心理とケア:向き合う側の気持ち、医療者の心の葛藤

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患者さんが自分らしい暮らしを取り戻すために


「そばにいなくてもできる看護」からの学び