【編者】
2024年12月に刊行されたハートナーシングの冬季増刊(詳しくはこちら)について、ハートナーシングの編集委員でもある編者の井澤先生に、補助循環をとりまく現状や増刊号のオススメポイントなどをお尋ねしてみました。
補助循環に馴染みがある人もない人も、好きな人も苦手な人も……いろいろな意味で「補助循環が気になる」という方はぜひチェックしてみてくださいね!
昨今、高齢化に伴う心不全患者の増加が問題視されていますし、心臓移植の待機患者も増えているというニュースも耳にします。
実際、現場の医療従事者の方々は、機械的補助循環で管理されている患者さんと接する機会が増えてきているのでしょうか?
はい。心不全患者の増加に伴い、機械的補助循環の重要性は高まっています。医療従事者は、機械的補助循環で管理されている患者さんに対応する機会が増えており、技術的な知識や患者管理に関する専門的なスキルが一層求められています。
心臓移植の待機患者も増えているなかで、機械的補助循環は生命維持手段として欠かせない役割を担っていて、これらの患者さんに接するときには機械的補助循環に習熟しておく必要があります。
補助循環について、モニターや機器など難しそうですし、命の危機に直結することなので、苦手意識を感じているナースもいると聞きました。機械などが苦手ないわゆる「機械オンチ」という自覚のある方は、「怖い」と感じることもあるようです。
たとえば、勤務先の医療機関に救命救急センターなどがない場合でも、機械的補助循環の知識は必要でしょうか?
機械的補助循環の使用は一般的になりつつあります。急性期に機械的補助循環を使って治療を受けた患者さんが、リハビリテーション病棟へ転院することもありますし、機械的補助循環を使用した治療が必要なために、救命救急センターのある医療機関へ患者さんを転送したりする場合もあります。このような転院の際、病院間での患者さんの引き継ぎには急性期の治療内容を理解しておく必要があります。
したがって、現在では救命救急センターや集中治療室に勤務していなくても、機械的補助循環に関する基礎的な知識をもつことが求められるようになってきています。
救命救急センターのある医療機関以外に勤めているナースにとっては、なかなかハードルが高い印象のある「補助循環」ですが、この増刊はどのように役立てることができそうですか?
機械的補助循環の取り扱いやモニターには高度な技術と知識が求められ、医療従事者、特にナースにとってはプレッシャーを感じることも多いかと思います。普段からこうした装置に触れる機会が少ないナースにとっては、機械的な操作やモニタリングに不安を感じることも理解できます。普段、直接取り扱う機会が少ないナースでも、本書を読めば、容易に基礎的な理解を深めることができます。
特に、機器の動作原理や、使用時の注意点、管理方法などがわかりやすく紹介されています。本書を読めば、突然、補助循環装置を装着した患者さんの出現に備えるための予備知識が身につき、実際にそのような状況が発生したときにも冷静に対応できると思います。
最後に、もし目の前にこの増刊を買うかどうか迷っている人がいたら、なんと声をかけますか? どんな人にオススメしたいですか?
この増刊を買おうかどうしようか迷っている人がいたら、そんなあなたにこそ、この増刊をオススメします。
補助循環の取り扱いや知識を身につけなくてはいけないことは理解していても、「学習するにはハードルが高い……」と感じている方に、ぜひ本書を読んでいただきたい。
イラストや写真が多用されていて、従来の教科書にはないわかりやすくて実用的な内容が書かれているので、1冊読めば補助循環の取り扱いや知識が必ず身につくはずです。
増刊号の案内
ハートナーシング2024年冬季増刊
イラスト・写真でわかる! CE・Dr・Nsが事例とQ&Aで解説!
もう怖くないIABP・V-A ECMO・Impella・VAD
多職種の実践的な解説で疑問・不安が解決!
管理中の患者さんのケアに自信をもちたい、機械が苦手で近寄るのも怖い、モニターのどこを見たらいいかわからない……など、「補助循環」について基礎から解説します。臨床に即したQ&Aや症例解説も豊富で、補助循環に関わる全てのナースにおススメの1冊!
目次
【1章 各機器のキホンData】
■IABP
・写真でみるIABP(機器)
・写真でみるIABP(画面)
・図とテキストでみるIABPのはたらき・仕組み
・適応・禁忌
・IABPの症例紹介
■V-A ECMO
・写真でみるV-A ECMO(機器)
・写真でみる(画面)
・写真でみる(注意)
・図とテキストでみるV-A ECMOのはたらき・仕組み
・適応・禁忌
・V-A ECMOの症例紹介
■Impella
・写真でみるImpella(機器)
・写真でみるImpella(画面)
・図とテキストでみるImpellaのはたらき
・仕組み
・適応・禁忌
■VAD
・写真でみるVAD(機器)
・写真でみるVAD(画面)
・図とテキストでみるVADのはたらき
・仕組み
・適応・禁忌
【2章 単体で使用するケース】
■IABP
・導入前のQ&A 1
IABPの導入におけるバルーンのサイズ(容量)は何を基準に決めますか?
・導入前のQ&A 2
IABP導入時の看護師の役割とはどんなものですか?
・導入中のQ&A 3
なぜIABPバルーンのガスとしてヘリウムを使用するのですか?
・導入中のQ&A 4
IABP管理下における循環管理のポイントは?
・導入中のQ&A 5
特定行為を活用した補助循環装置の管理の考え方について教えてください。
・離脱後のQ&A 6
補助循環離脱後の、人工呼吸器を装着した患者さんの鎮静の方法は?
・合併症のQ&A 7
IABPの合併症について教えてください。
・機器トラブルのQ&A 8
IABP装置でのバルーンの動作不良や拡張不全の原因は何ですか?
・機器トラブルのQ&A 9
IABP装置で、ガス供給の問題が発生した場合、どのような対処が必要ですか?
・機器トラブルのQ&A 10
心電図にノイズが入ってしまい、正しく心電図同期していない時はどうすればいいでしょうか?
・患者トラブルのQ&A 11
補助循環装着患者が不穏になってしまいました。不穏の原因はなんでしょうか? どう対応したらよいですか?
・患者トラブルのQ&A 12
補助循環装置は離脱できましたが、身体機能が大きく低下してしまいました。集中治療後症候群(PICS)とは何ですか?
■V-A ECMO
・導入前のQ&A 1
V-A ECMO(PCPS)の導入における脱血管(カニューレ)と送血管(カニューレ)の太さは何を基準に決めますか?
・導入前のQ&A 2
意思決定支援について教えてください。
・導入中のQ&A 3
V-A ECMO(PCPS)管理中に流量や圧力が変化しますが、圧力の変化はなぜ生じるのですか?
・導入中のQ&A 4
V-A ECMO管理下における、酸素供給量と酸素消費量について教えてください。
・導入中のQ&A 5
V-A ECMO管理下における酸素需給バランスについて教えてください。
・離脱後のQ&A 6
V-A ECMO(PCPS)離脱後に循環が維持できなくなりました。この時、PCPSを再利用することは可能でしょうか?
・合併症のQ&A 7
V-A ECMOの合併症について教えてください。
・機器トラブルのQ&A 8
人工肺から黄色の泡状の液体が出てきました。これはなんですか?
・機器トラブルのQ&A 9
人工肺の色が静脈血のような(赤黒い)色になっています。どういう状況でしょうか?
・機器トラブルのQ&A 10
突然機械が止まってしまった場合、循環維持はどうすればいいですか?
・患者トラブルのQ&A 11
循環障害の重要なモニタリング指標である「乳酸」について教えてください。
・患者トラブルのQ&A 12
家族ケアについて教えてください。
■Impella
・導入前のQ&A 1
Impella留置中の観察ポイントはなんですか?
・導入前のQ&A 2
IABPではなく、Impellaを選択するのはどのような場面ですか?
・導入中のQ&A 3
Impella管理中の抗凝固療法はどのようにしていますか?
・離脱後のQ&A 4
Impella離脱後に注意することは何ですか?
・離脱後のQ&A 5
Impellaのウィーニングはどのように行いますか?
・離脱後のQ&A 6
Impellaの抜去の方法を教えてください。
・合併症のQ&A 7
Impella管理中の合併症(出血・血栓塞栓症)について教えてください。
・合併症のQ&A 8
Impella管理中の合併症(溶血)について教えてください。
・合併症のQ&A 9
Impella 管理中のそのほかの合併症について教えてください。
・機器トラブルのQ&A 10
アラームの種類について教えてください。
・機器トラブルのQ&A 11
サクションアラームとはどういったアラームですか?
・機器トラブルのQ&A 12
Impellaが突然停止した場合、どうしたらよいでしょうか?
・患者トラブルのQ&A 13
臥床による患者さんの筋力低下が心配です。Impella挿入中のリハビリテーションはどうしたらよいですか?
・患者トラブルのQ&A 14
トラブルが起こらないようにImpellaポンプカテーテルを固定するにはどうしたらよいですか?
■VAD
・導入前のQ&A 1
VAD装着前の患者管理で、気をつけておくべきことはありますか?
・導入中のQ&A 2
VAD装着患者さんが円滑な日常生活を行うために、医療チームがサポートすべきに内容に関して教えてください。
・離脱後のQ&A 3
心機能が改善してVADを離脱した患者さんは、薬物療法を中止してしまってもよいのでしょうか?
・合併症のQ&A 4
VAD 植込み後に気をつけなければならない合併症はなんですか?
・機器トラブルのQ&A 5
両電源喪失したら、どうなりますか?
・患者トラブルのQ&A 6
VAD植込み後に必要な24時間のケアギバーの付き添いの定義が緩和されたと聞きました、患者さんは自由に1人で行動できるようになったということでしょうか?
【3章 複合的に使用するケース】
■IABP × V-A ECMO
・図とテキストでみるIABP×V-A ECMOのはたらき
・適応
・IABP×V-A ECMOのQ&A 1
動脈圧波形とIABP先端圧波形が同じです。これはIABPの同期タイミングがずれているのでしょうか。
・IABP×V-A ECMOのQ&A 2
V-A ECMO(PCPS)とIABP併用時において、バルーン拡張時の上肢への血流はどうなりますか?
■V-A ECMO× Impella
・図とテキストでみるV-A ECMO×Impellaのはたらき
・適応
・V-A ECMO×ImpellaのQ&A 1
ECMOとImpellaそれぞれの流量調整はどのようにするのでしょうか?
・V-A ECMO×ImpellaのQ&A 2
ECPELLAのウィーニング、離脱はどのようにするのでしょうか?
・V-A ECMO×ImpellaのQ&A 3
ECPELLA管理中のdifferential hypoxia(northsouth syndrome)について教えてください。
・V-A ECMO×ImpellaのQ&A 4
ECPELLAの抗凝固療法管理について教えてください。
・V-A ECMO×Impellaの症例紹介
発行:2024年12月
サイズ:B5判 240頁
価格:4,400円(税込)
ISBN:978-4-8404-8276-9
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