●書評
看護統括部長/医療教育部長
脳卒中看護認定看護師/ユマニチュード🄬チーフインストラクター
一般病棟ナースの多くが経験する精神症状 そのメカニズムの理解やアセスメントは十分か?
患者が、突然、落ち着かなくなり、声をかけても辻褄が合わない。昼夜逆転し、日中、傾眠傾向でリハビリが進まない。夜間に大声を出してしまう。意欲が低下し、食事摂取量も減ってくる。これらのことは、一般病棟ナースの多くが経験している。また、既往に統合失調症やうつなどの精神疾患を抱えた患者への対応に、不安を感じたこともあるのではないだろうか。
患者がこのような状態になると、その対応に難渋する。しかし、難渋している割には、これらの症状がなぜ起こるのか、その発生のメカニズムについての理解や、アセスメントは十分であるとはいえない。
本書は、一般病棟でもよく経験する精神疾患の理解から始まり、脳機能の変化を理解し、それに対する薬物療法として説明されており、精神疾患の理解を深めることができる。
これからの臨床現場で精神科の知識は必須
疾患を治療し回復するために入院したはずが、入院という非日常の環境に適応できず、せん妄や不眠などの精神症状を呈し、回復が妨げられる。これらを予防すると共に、適切な対応ができることは、一般病棟ナースの重要スキルであり、筆者が述べている通り、これからの臨床現場で精神科の知識は、必須となるだろう。
本書は、一般病棟ナースの精神疾患に対する苦手意識を払拭し、精神症状に対するアセスメント力は、患者の回復を支えるために必要なスキルであるということを伝えている。
書籍紹介

統合失調症・気分症・睡眠薬・認知症・せん妄のこれだけは!
精神科ナースも患者さんにかかわる前に知っておきたい
精神科や精神疾患の知識ゼロでもわかる!
一般病棟でも精神症状をもつ患者が増えているが、日々忙しい看護師には、精神症状や薬剤のことまで勉強するのは負担が大きい。本書では精神科でなくても知っておいてほしい精神症状と薬の知識を、専門的な言葉を使わず、わかりやすく解説する。入門書として気軽に読んでほしい1冊。
発行:2024年3月
サイズ:A5判 232頁
価格:3,300円(税込)
ISBN:978-4-8404-8463-3
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