2026年度診療報酬改定で、「急性期病院一般入院基本料」が新設されました。名称が似ているため、「急性期一般入院料と何が違うのか」「自院にはどちらが関係するのか」と戸惑う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、書籍『2026(令和8)年度診療報酬改定対応版 いまさら聞けない入院基本料』
をもとに、新設された入院基本料の評価の考え方と、看護部が確認するポイントについて解説します。
(メディカ出版 編集部)
●急性期病院一般入院基本料が新設された理由
●急性期病院A・B一般入院料の違い
●急性期一般入院料1~6との違い
●看護・多職種協働加算の意味
急性期病院一般入院基本料は、なぜ新設された?
これまでの急性期一般入院料は、病棟の急性期患者割合などを中心に評価してきました。一方、2026年度改定では、地域において病院が担う急性期機能も評価の対象となっています。
新設された急性期病院一般入院基本料では、救急搬送件数や全身麻酔手術件数が実績要件に入ります。病棟だけでなく、病院全体の急性期機能を評価するしくみです。
急性期病院一般入院基本料に共通する主な要件は、データ提出加算の届出を行っていること、DPC対象病院であること、地域包括医療病棟の届出を行っていないことです。また、急性期機能への特化が求められています。
●急性期病院一般入院基本料
☛ 病院全体の救急・手術実績を評価に加える
●急性期一般入院料
☛ 病棟の看護配置、平均在院日数、重症度、医療・看護必要度などを区分ごとに評価する
急性期病院AとBは、何が違う?
急性期病院一般入院基本料は、急性期病院A一般入院料と、急性期病院B一般入院料に分かれます。主な違いは、次の表で確認してください。
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A・Bのどちらを検討する場合も、病院全体の実績と病棟の運営体制を切り離して考えることはできません。看護部では、自院の救急・手術実績や病棟構成を確認したうえで、患者像と人員体制が施設基準に適合するかを医事部門などと照らし合わせます。
なお、A・Bは、単純な上位・下位の関係ではありません。病院機能と施設基準に応じて検討します。
急性期一般入院料1~6とは、何が違う?
急性期一般入院基本料は、急性期一般入院料1~6に分かれます。基本となる看護配置と平均在院日数に、重症度、医療・看護必要度の患者割合などを組み合わせた評価です。
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最も大きな違いは、評価の軸です。急性期病院一般入院基本料は、病院全体の急性期機能を評価に加えますが、急性期一般入院料では、病棟の看護配置、平均在院日数、重症度、医療・看護必要度の割合指数などを区分ごとに評価します。
平均在院日数や必要度の基準は、区分ごとに異なります。上の表では、点数、看護配置、平均在院日数に加え、必要度Ⅰ・Ⅱの基準値も比較できます。急性期一般入院料4で看護・多職種協働加算を算定する場合は、救急患者応需係数を加えた該当患者割合指数について、基準①・基準②が別に設定されています。
なお、算定する入院料は、点数の高さだけで選択できるものではありません。繰り返しになりますが、急性期病院一般入院基本料では、病院全体の救急・手術実績や病棟構成なども要件となります。自院が地域で担う機能と、一般病棟の患者像、人員体制をあわせて検討する必要があります。
看護・多職種協働加算で、病棟運営はどう変わる?
2026年度改定では、「看護・多職種協働加算」も新設されました。高齢者等が主に入棟する病棟で、看護職員と他の医療職種が連携・協働して病棟業務を行い、患者のADLの維持・向上などに取り組む体制を評価します。
急性期病院B一般入院料で看護・多職種協働加算を算定する場合は、看護職員10対1以上に加え、看護職員を含む多職種25対1以上の配置が必要です。また、平均在院日数16日以内、在宅復帰・病床機能連携率8割以上など、加算算定時の基準も確認します。
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看護・多職種協働加算の施設基準で示されている職種には、看護職員のほか、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、臨床検査技師などがあります。
ただし、加算の要件を満たすために人数をそろえるだけでは十分ではありません。患者のADLの維持・向上に向けて、各職種が病棟で担う業務と、職種間の連携方法を整理し、継続的に連携できる体制を整える必要があります。
●急性期病院B一般入院料の看護職員配置基準を満たしているか
●加算で求められる多職種の配置基準を満たせるか
●施設基準で示される職種を、どの病棟へ配置するか
●各職種が病棟でどのような業務を担い、どのように協働するかを整理しているか
●ADLの維持・向上に向けた取組を実施し、記録で確認できるか
●算定開始後も、配置と取組を継続できる体制があるか
届出の検討にあたっては、病院・病棟の施設基準だけでなく、看護管理者の配置要件と、病棟運営にかかわる指標も確認します。
・急性期病院一般入院基本料で望ましいとされる看護管理者の配置
急性期病院一般入院基本料では、看護師長または同等以上の職に5年以上従事した経験を有し、所定の研修を修了した看護師を配置することが望ましいとされています。疑義解釈では、日本看護協会のサードレベルを指す、とされています。
これは資格だけの問題ではありません。病院全体の急性期機能と、各病棟の運営をつなぐ役割が看護管理者に求められていると考えられます。
・病棟運営に直結する必要度と平均在院日数の確認
急性期病院A・B一般入院料にも、重症度、医療・看護必要度の基準があります。原則として必要度Ⅱを用い、一定の医療機関では必要度Ⅰの基準が適用されます。急性期一般入院料1~6でも、区分ごとに基準が異なります。
必要度の基準は、届出区分と評価方法によって異なります。まず、自病棟の届出区分と、必要度Ⅰ・Ⅱの別を確認してください。
平均在院日数も、単なる経営指標ではありません。救急受入れ、治療、病棟間の移動、退院・転院までの流れに関係します。必要度と在院日数を、病床運営と人員配置へつなげて見ることが大切です。
まとめ 入院料は「病院機能」と「病棟体制」を合わせて判断する
急性期病院一般入院基本料は、病棟単位の体制だけでなく、病院全体の救急・手術実績や機能も含めて評価する入院基本料です。急性期病院A・Bでは、看護配置、平均在院日数、救急・手術実績などの基準が異なります。また、看護配置、平均在院日数、重症度、医療・看護必要度などを区分ごとに評価する急性期一般入院料1~6とは、評価の軸も異なります。
届出を検討する際、看護部では、自院の病院機能を確認したうえで、患者像、看護職員の配置、多職種との協働体制、入退院の流れが、選択する入院料の基準に合っているかを確認する必要があります。制度上の基準を満たせるかだけでなく、その体制を継続して運用できるかまで見通すことが、看護管理者の重要な役割です。
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