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看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」のみなさんが、毎回テーマに沿ってそれぞれの看護の足跡を残していく本企画。

「学びかたを学ぶことで看護師として生きる選択肢をふやしていく」ことをコンセプトに立ち上げたメディア「メディカLIBRARY」のスタッフが、毎回、フラクタルのみなさんにテーマを伝えています。

今回のテーマは「感動した伝え方」です。

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新年度が始まりしばらく経ちました。
みなさん、どうでしょうか。
新しい環境になった方は疲れが出ているころではないでしょうか。
どうか無理せずに新しい環境に慣れてください。

そんなことで今回のテーマは「感動した伝え方」です。
精神科は間違いなく、どの診療科以上に「伝え方」が大切な科だと思います。
なんといっても患者さんも心の不調や今の気持ちを言葉で伝えてくるわけです。
もしくは身体的不調を適切な言葉で伝えられないこともあります。
「真実はなにか」を慎重に考える必要があります。
また看護師側も、適切な伝え方がとても重要視されます。
間違ってとらえられないよう、慎重に言葉を選びます。
これ、本当に難しく、時として言葉を間違えると病状が急激に悪化する可能性があるので注意が必要なんです。
なので精神科で働く看護師は言葉の使いかたがうまい人が多いと思います。
逆に、相手の言葉の裏側を知ろうとプライベートで友人に対して、「それってさーどういう意味?」と聞いては相手を不快にさせることも多いです(笑)。

よく「安心してください」って言葉を聞きますが、これを伝えても相手の不安は解消しないことが多いです。
「なんの根拠があって安心してと言ってるんだ」となってしまいます。
具体的な方法、根拠を伝えたうえで「安心してください」と伝えないといけません。
むしろ「大丈夫ですか?」などと相手の気持ちを聞き出す言葉をかけたほうが、相手は安心することが多いです。
もしくは「私も不安です」と同じ気持ちであると伝えることも時として有効です。

あるとき、病棟で患者さんが持ち込み不可の物を持ち込んだことがありました。
その物をすぐに回収しようとしましたが、患者さんはすこし抵抗感をしめしました。
それでも回収しましたが、そのときに先輩看護師さんが「患者さんとの関係性を壊したくない」と話しました。
なんかその言葉が非常に印象的でした。
持ち込み不可な物を持っているのはいけないこと。
でも、抵抗感があったなら渡したくはなかったはず。
患者さんとしては「無理やり取られた」と思ってしまい、今後の関係性に影響するだろうと。
なるほど。
危険物でなければ、本人みずから返却するタイミングを待てばよかったなと思いました。
「患者さんとの関係性」というのは、本当に重要なことです。
これを崩す言葉がけはいけないと思いました。

精神科に勤めているので、日々患者さんに何十、何百という言葉がけをします。
いろんなスタッフがそれぞれ伝え方を工夫しています。
たぶん言葉が行き交いすぎて、一番感動した伝え方が見つかりませんでした。
患者さんに対しても、スタッフに対しても、「伝え方のプロ」として日々働いている気がします。

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fractale~mizuki~
twitter:mizuki@おぬ10年目看護師(@c_mikzuki

乗り物好きな看護師。事務職、データベースエンジニアを経て31歳で看護師に。脳外科、回復期、精神科病棟を経験。その後は在宅医療を経験し、再度精神科病棟へ。看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」管理者。医療メディア「メディッコ」メンバー。看護師のキャリアについて考える「ナスキャリ部!」副部長(仮)。その他多数プロジェクトに参加。好きな言葉は「まだ見ぬ誰かの笑顔のために」。好きな看護技術はひげ剃り(その他ほぼ不得意)。好きな看護業務はリーダー業務。好きな都バスの路線は【業10】新橋~とうきょうスカイツリー駅前。 

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