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看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」のみなさんが、毎回テーマに沿ってそれぞれの看護の足跡を残していく本企画。

「学びかたを学ぶことで看護師として生きる選択肢をふやしていく」ことをコンセプトに立ち上げたメディア「メディカLIBRARY」のスタッフが、毎回、フラクタルのみなさんにテーマを伝えています。

今回のテーマは「解剖生理で苦手だったところ」です。

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解剖生理学と聞いて、「得意分野」と思う人って少ないのではないでしょうか。
看護学校でも1年生のはじめから「解剖生理はしっかり学ぶこと」とか言われましたよね。
結局、解剖生理学のテストはギリギリ合格点みたいな感じで合格しましたが、看護師になってからもいまだに苦手な分野です。

なので、今回のメインテーマである「解剖で苦手だったところ」というのは「すべて苦手です。しかもいまだに」という言葉で片付けられてしまいます(笑)。

個人的に一番解剖生理が大切だなと思った分野って、術後の患者さんを実習で受け持ったときですね。
胸腔ドレーンの穿刺部とか、排液がどれぐらいとか、麻酔がどうとかあれこれ調べまくって実習していました。
結構教科書どおりに事が進むんですよね。
いわゆる「クリニカルパス」に乗せているわけですが、「人間の身体って1人ひとり違うと思ったけど、案外同じなんだな」と思いました。

逆に不思議なのが私の働いている精神科での解剖生理。
精神科を経験している方はわかると思いますが、解剖生理で学んだことが「あれ? 自分の知識って違うっけ?」と思ってしまうことが多々あります。

よくあるのが多飲水患者さんの膀胱の容量。
一般的に国試レベルで問われるじゃないですか。
「成人の膀胱の容量は?」とか「尿意を感じるのはどれぐらい?」とか。
また、大体膀胱の容量は500mL前後って感じで覚えておけばいいと思うのですが、精神科に来ると「どれだけ膀胱の容量が大きいのよ」ってぐらい排尿量の多い人がいます。
よく見られるのが、ポータブルトイレのバケツに尿があふれそうなぐらいに貯まっていたりとかしますね。
もちろん1回分ではないのですが「今日捨てるの1回目? いやいや、朝捨てたって」みたいなことがあったりします。
あとは尿器で採ってみても尿器が2本必要だったり(一般的な口近くまで入れると1,200mLぐらい入るやつです)。
膀胱の伸縮がすごいんでしょうね。
だから精神科に来て思います。
「人の身体はそれぞれ違うんだな」って。

いまは苦手でも、その分野で働けばその分野ごとに解剖生理を学び直す必要があると思います。
やっぱり基本は同じでも、全身を見るか一部分を見るかでも違いますよね。
精神科だとあんまり循環器とかかかわらなくなるし、細かく言えば脈拍も頻脈の人が多かったりしますので「これが正常、これは正常ではない」という正常域の範囲が個性的になったりします。

不思議ですよね、解剖生理って。

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fractale~mizuki~
twitter:mizuki@おぬ12年目看護師(@c_mikzuki

乗り物好きな看護師。事務職、データベースエンジニアを経て31歳で看護師に。脳外科、回復期、精神科病棟を経験。その後は在宅医療を経験し、再度精神科病棟へ。看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」管理者。医療メディア「メディッコ」メンバー。看護師のキャリアについて考える「ナスキャリ部!」副部長(仮)。その他多数プロジェクトに参加。好きな言葉は「まだ見ぬ誰かの笑顔のために」。好きな看護技術はひげ剃り(その他ほぼ不得意)。好きな看護業務はリーダー業務。好きな都バスの路線は【業10】新橋~とうきょうスカイツリー駅前。 

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