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看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」のみなさんが、毎回テーマに沿ってそれぞれの看護の足跡を残していく本企画。

「学びかたを学ぶことで看護師として生きる選択肢をふやしていく」ことをコンセプトに立ち上げたメディア「メディカLIBRARY」のスタッフが、毎回、フラクタルのみなさんにテーマを伝えています。

今回は「もしも今年新人看護師だったら」を綴っていただきました。

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今でも思い出す、入職~1カ月後の地獄。
そして、そこからの3カ月はほぼ記憶がない。
メモを遡っても、半分くらい記憶のないものがある。
慣れてしまった、「言ったよね?」のことば。
メモには書いてある以上、先輩の「言ったよね?」に対しての答えは、「伺いました」。
でも、覚えていない。
日々増える情報に、頭の処理が追い付いていない。

慣れたころに患者さんは退院し、また新しい患者さんの担当となる。
薬や病態が変わるため、調べなおし。
聞いたことはあっても、定着していない。
当時は携帯でちゃちゃっと調べることは禁止されていて、『今日の治療薬』で調べる。
当たり前だけど、“家でちゃんと調べるんだから今は簡易的に調べるのでいいじゃん”、が通じないため、やたら時間がかかる。
『今日の治療薬』は分厚いから重いけど、それ以上に寝不足や夜勤によりリズムが狂っているためか、瞼も重い。
気持ちも重い。

ただただ毎日がきつかった。
同じくきつい環境にいた同期とは、自然と仲良くなった。
同期が誰も夜勤じゃないときを見計らって、よく飲みに行って暴れた。
そんなあほみたいな時間が楽しかったし、救われた。
もちろん、同期以外の友人にも救われた。
ライブにもたくさん行ったし、お酒もたくさん飲んだ。
ボードもフェスも知った。

あるとき、メモを見返すと、中身はほとんど斜線だった。
メモを確認しなくても大丈夫な個所には斜線を引くようにしていた。
そういえば、いくらか気持ちは楽になっていた。

ひとりだったら乗り越えなかったかもしれない、と今でも思う。


だからこそ、今の新人さんの状況って、想像以上にきついと思う。
それは、新人看護師の離職率が初の2桁となったことにしっかりと反映されている。

人との接触を制限されてたんだもの。
たまりにたまったものを、出す場がないんだもの。
そりゃ、しんどいですって。
我慢が美徳だとか信じてる人がいまだにいるけど、そんなことはない。
人は超人じゃないんだから。
きついのはきついし、無理なものは無理。
そう思うのは、間違ってない。
今2年目の人たち、本当にがんばったんだね。
コロナは5類にはなったけど、医療機関は世間と同じペースでいるわけにはいかない。
だから、今年の新人さんももちろんきついと思うし、先輩だってきつい。
お国様には、離職率が高い現状をもっと厳重に受け止めてほしい。
早く、もう少し負担が減りますように。

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fractale~satomi~
twitter:さとみ(@minisatominy

三度の飯よりお酒が大好きな飲兵衛看護師。仕事終わった瞬間からが本番だと思っている。仕事は真面目な自信あり。大学病院消化器外科3年、民間病院ICU2年、公立病院脳外科夜勤専従、訪問入浴、デイ、老健など1年の派遣生活を経て、メルボルンへ10ヶ月の看護留学。帰国後から訪問看護師として働き3年目。座右の銘は「笑う門には福来たる」。根からの明るい性格を最大限に利用し、日々楽しく訪問中。マルチポテンシャライトだから特技っていう特技はないけど、強いて言えばラポール形成が無駄に得意。今までクレームや担当変更がないのが密かな自慢。ちゃっかり保健師免許所有。 

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