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看護師クリエイティブプロジェクト「fractale」のみなさんが、毎回テーマに沿ってそれぞれの看護の足跡を残していく本企画。

「学びかたを学ぶことで看護師として生きる選択肢をふやしていく」ことをコンセプトに立ち上げたメディア「メディカLIBRARY」のスタッフが、毎回、フラクタルのみなさんにテーマを伝えています。

今回は「最近気になるワード」を綴っていただきました。

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「慢性的な人手不足」
「疲弊する医療者」
「離職率の多さ」
「給料の低さ」
「命の現場にいることの重さ」


ずーっと前からよく耳にしてきた、現場を表現するこれらの言葉たち。
コロナ禍で、ようやく……本当にようやく、医療現場以外の人たちにもこういう現場の苛酷さが伝わるようになりましたね。


でも、ちょっと待ってください。
知れ渡って、問題視されて。総理も動き出して。
実際、変わりました?(笑)
わたしはまったく実感がありません。


コミュニケーションは相手側の受け取り方によるものです。
今回のケースも、受け取り手(=医療者)としてなんかしら改善されたとの実感がなければ、変わったとは言えないと思うんです。
微々たる給与アップも一部の該当者だけですし、対象外の人も多いはず。
実際にコロナ患者にかかわっていない医療従事者だって、日々の感染対策や消毒作業、頻回な検温などなど、少なからず間接的にコロナと戦っているんです。
電車通勤だって、めちゃくちゃ神経質になりますよね?


それでも、医療者が平等に恩恵を受けたものといえば、ブルーインパルスの軌跡と医療者への感謝の拍手くらいしか思いつきません。
もちろん、医療者への感謝としていろいろと表現してくれるのはとっても光栄なことです。
ですが、これって根本的な解決になっていないんですよね。


どこの組織にもありがちな、つぎはぎだらけの現場を物語っているようで、何とも言えない気持ちになります。
つぎはぎだらけとは、わたしがよく使う表現ですが、根本的な要因検索をし体制を整えるのではなく、周りのサポートで何とかなってしまっている状況のことを表しています。
こんな現場、多くないですか?
離職した中堅の穴を新人で埋めている、とか。
穴埋めせずに、1人に過剰に負荷をかけ、回している、とか。


わたしたちは医療のプロなのに、全力を注げない状況がある。
とてももったいないことだなぁ、と思います。
しかも、年々ひどくなってません?
給与は減っていくのに。


まあ、こんな感じでモヤモヤと葛藤しているわけです。
きっと、医療現場の苛酷さが指摘されているだけで、きっと根本解決はされずに、しれっと流されちゃうんだろうな、と。
みんなでボイコットしちゃいましょうか?って思っても、医療者は優しいからきっとなんとか頑張って現場もなんとかなっちゃうんだろうな。
もちろんわたしだってそんなことしないし、やりたくないです。

すごいよ、医療者のみなさん。
過酷な状況のなかでこんなに頑張っていて。
誇っていきましょうね。
ほどほどに働きつつ、ほどほどに反発していきましょ。

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fractale~satomi~
twitter:さとみ(@minisatominy

三度の飯よりお酒が大好きな飲兵衛看護師。仕事終わった瞬間からが本番だと思っている。仕事は真面目な自信あり。大学病院消化器外科3年、民間病院ICU2年、公立病院脳外科夜勤専従、訪問入浴、デイ、老健など1年の派遣生活を経て、メルボルンへ10ヶ月の看護留学。帰国後から訪問看護師として働き3年目。座右の銘は「笑う門には福来たる」。根からの明るい性格を最大限に利用し、日々楽しく訪問中。マルチポテンシャライトだから特技っていう特技はないけど、強いて言えばラポール形成が無駄に得意。今までクレームや担当変更がないのが密かな自慢。ちゃっかり保健師免許所有。 

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