著者:小野坂益成 (松蔭大学看護学部精神看護学講師)
前回は就職や転職時の勤務先の考え方をテーマにしましたが、今回は働きやすい環境について考えてみたいと思います。
働きやすい環境とは、一体どういったものでしょうか。
1つとしては、風通しがよい環境。コミュニケーションがスムーズで、さまざまな意見が言える。またスタッフ間の関係が良好な環境なのかもしれませんね。
じつは、職場におけるスタッフとの関係性は、自分自身である程度調整可能なんです。たとえばスタッフ同士でいろいろ遊びに出かけたりすることはありますよね。
今回は、そんな失敗談です。
自分が病院で働いたときに、先輩から遊びのお誘いがありました。今思えば、先輩も気をつかってくれていたと思います。
自分も入職したばかりのころは、職場に早く溶け込みたいとしか考えていませんでした。そのため遊びに誘われれば参加するなど、1つひとつを深く考えずに参加していました。
そのなかで一番気まずかった誘いと言えば……それは、プールです。そして、行ってみてわかったことなのですが……。
そうなのです。看護師は女性が多い職場、参加者は女性、男性は自分のみ。当時はいまより男性看護師は少数でしたので、後々考えると「そうなるよね」ってな感じですよね。あとはいま思うと誘った方は「えっ?」ていうリアクションでした。
深く考えずに『誘われるんだから、まあいろいろ人はいるんだろうな~』と自分のなかで納得してしまい、相手の情報(遊びの内容と参加メンバーの確認など)との違いが生じた恥ずかしい思い出です。
上記の失敗談は結果的にスタッフと仲良くなるきっかけとなりましたが、活動や遊びのお誘いというものはときどきあると思います。
活動や遊びといっても、どこかに行くものです。危ないものではありません。
例えば、フェスや買い物など、職場の人と行った経験もあります。サークル活動というものもありました。
他者との関係は、かかわり(コミュニケーションなど)が少なくなってしまうと刺激・変化が小さくなります。変化を与える機会が減るという意味ですね。具体的には、良好な関係を構築するためには、コミュニケーション(かかわり)がないと変化が起こりにくくなります。それは、かかわりがないと、同様な環境が継続してしまうということですね。そのため、自分自身が行える職場環境の調整にはコミュニケーションが必須です。
ただ、だからといって、円滑な職場環境のためと「〜しなければならない」と気がすすまないものにムリに行くものではありません。行ってみて、「楽しかった」となることもありますが、ストレスで不調になるくらいなら、断ることも必要ですよね。
行きたいときは、「行きたいです」。行きたくないときは「ちょっと用事あって」など断ることもと大切です。
【根拠】
単純接触効果
同じ対象に繰り返し会う(接触する)ことで、その対象に対する好意や親しみが増す効果のことです。対人関係構築などよく利用され、頻繁に顔を合わせることや、いろいろかかわることにより、お互いに知る・知られることが好印象につながるといった効果がありますよ。
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