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事例

Aさん(30歳、女性)。2年前から会社の健診で徐脈を指摘されていました。半年前から倦怠感、めまいや立ち眩みの症状がありましたが、最近、症状出現の頻度が高くなったため心配になり受診すると、精査と治療目的にて入院することになりました。入院時の血圧100/56mmHg、心拍数30 回/分、呼吸数15回/分、SpO2 96%。入院後、ベッド上臥床の状態で自覚症状はありません。徐脈に対し、プロタノール(塩酸イソプロテレノール)の内服治療が始まりました。

問題

Aさんへの援助について適切なものはどれですか。
<正解71%>

(1)脈拍を上げるために適度な運動は必要であると説明する。

(2)アダムス・ストークス症候群による意識消失の可能性を考えて、付き添い歩行が必要であることを説明する。

(3)治療のために内服しているプロタノール(塩酸イソプロテレノール)により、多飲・多尿となることを説明する。



… 正解は …











(2)

解説

(1)⇒この症例(洞不全症候群または房室ブロックの可能性が高い)は器質的なものであるため、運動を行っても徐脈の改善にはなりません。
(2)⇒意識消失はどのタイミングで発生するか定かではないため、付き添い歩行を行うことで転倒を防止し、症状出現時の早期発見および対処を行うためにも必要な援助です。
(3)⇒プロタノール(塩酸イソプロテレノール)は心臓内にあるβ受容体に作用し心拍数を増加させます。副作用として動悸・頻脈があります。

入院により日常生活を制限され、患者さんによってはストレスを感じることがあります。病状やそれによる2次的障害について患者さんへ説明し、理解と協力を得る必要があります。患者さんによっては徐脈の状態に体が慣れてしまっているため、内服による心拍増加により、動悸を感じて気分不快などの不調を訴えることもあります。症状によっては内服の調整も必要となることもあるので、医師に状況を伝える必要があります。

※2021年6月16日掲載分の再掲載です。