事例
Aさん(60 歳、男性)、前立腺がん。肺転移と多発骨転移があり、胸水が貯留して呼吸困難感と腰痛があります。モルヒネを使用していますが、十分に症状緩和が図れず、1日の大半はベッド上でギャッチアップまたは座位で過ごしています。次第に倦怠感が強くなり、着替えや清拭を拒否することが多くなってきました。また便失禁があり、おむつを着用しています。
問題
3週間後、Aさんの症状緩和が図れポータブルトイレでの排泄や車椅子に移乗ができるようになりました。創サイズは1×1cmに縮小し、創面は赤色の肉芽で覆われ、炎症・感染徴候はなく滲出液も減りガーゼ交換は1 日1 回程度になりました。この時期に使用する外用薬として適切なのは次のうちどれでしょうか。
<正解率55%>
(1)アルプロスタジル アルファデクス(プロスタンディン軟膏0.003%)
(2)ポビドンヨード・シュガー(ユーパスタコーワ軟膏)
(3)ブロメライン(ブロメライン軟膏)
… 正解は …
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(1)
… 正解は …
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(1)
解説
(1)⇒プロスタンディン軟膏0.003%は、上皮形成促進、血管新生促進の作用があり、肉芽形成期に使用され創治癒を促進します。
(2)⇒ポビドンヨード・シュガー(ユーパスタコーワ軟膏)は、白糖の吸水作用により創面の浮腫軽減、滲出液の吸収効果があり、ポビドンヨードによる感染制御作用があります。滲出液が少ない場合は創面が乾燥して治癒が遅延します。また肉芽形成が障害される可能性もあります。
(3)⇒ブロメライン軟膏は、パイナップルからつくられる蛋白分解酵素で、創面の壊死組織を分解・除去、清浄化を目的として使用します。副作用として出血、痛み、創縁のびらんなどがあります。
褥瘡の状態を定期的に評価し、局所ケア方法を検討する必要があります。外用薬や創傷被覆材の選択だけではなく、適切な使用方法(交換頻度、外用薬の使用量、創傷被覆材の大きさ等)も考慮する必要があります。
※2021年4月30日掲載分の再掲載です。