事例
Aさん(52歳、女性)は未婚で80歳の実母と2人暮らしです。高校で教員をしています。卵巣がんで単純子宮全摘出術、両側付属器切除術、大網切除術、骨盤リンパ節生検術施行後、翌月から化学療法を受けることになりました。卵巣がんの標準化学療法であるパクリタキセル(PTX) とカルボプラチン(CBDCA)の併用療法(TC療法)を、3週間ごと6回を目標に受ける予定です。今回は初回のTC療法のため入院しました。
問題
Aさんはこれから受ける抗がん剤治療の副作用について、特に脱毛に関して詳しく知りたいと訴えています。Aさんへの看護として最も適切なものはどれですか。
<正解100%>
(1)頭皮を保冷剤で冷却するよう指導する。
(2)患者説明用のパンフレットを用いて説明する。
(3)洗髪は脱毛を促進するので、しないよう指導する。
… 正解は …
▼
▼
▼
▼
▼
(2)
… 正解は …
▼
▼
▼
▼
▼
(2)
解説
(1)⇒頭皮を冷却し血流を減少させる目的で保冷剤内蔵の帽子が使われた時代もありましたが、エビデンスがないため現在は使われていません。
(2)⇒具体的にイメージできないことで不安が増していることも考えられますので、パンフレットなどを用いて具体的に説明します。
(3)⇒白血球が減少している時期は毛嚢炎を起こす可能性があるので、頭皮を清潔に保つことは大切です。ただし頭皮を傷つけないよう優しく洗髪します。
脱毛は抗がん剤治療開始から2~3週間で始まり、治療終了後1~2カ月ほどで生え始めます。一時的なものですが、ボディイメージの変化を伴うため女性にとっては深刻な問題です。脱毛に限らず副作用としてこれから起こることを説明し、どのような対処方法があるのかを具体的に示すことは不安の軽減につながります。あらかじめ頭髪を短くカットしたり、帽子やウイッグを紹介するのもよいでしょう。また患者さんどうしの情報交換が有効な場合もあります。患者さんの状況に応じて、ピアサポート(=同じような立場の人によるサポート)を取り入れるのもよいでしょう。
※2021年6月23日掲載分の再掲載です。