事例
Aさん(72歳、男性)は散歩中に乗用車と衝突し、救急搬送されました。来院時血圧90/55mmHg、脈拍数110回/分、呼吸数30回/分、SpO2 90%(酸素10L/分投与下)。末梢冷感を認めました。右胸の痛みを訴えており、意識は清明でした。検査の結果、右肋骨骨折(Fracture of the ribs)、右血気胸(Hemopneumothorax)と診断されました。
問題
その他の検査では、心電図検査に異常はなく、心胸郭比45%でした。Aさんの状態から最も可能性が高い状態はどれですか。
<正解率74%>
(1)心原性ショック
(2)循環血液量減少性ショック
(3)血液分布異常性ショック
… 正解は …
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(2)
… 正解は …
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(2)
解説
(1)⇒心機能に問題はないため該当しません。
(2)⇒血気胸による循環血液量の減少に伴う、血圧低下と頻脈から、循環血液量減少性ショックと考えられます。
(3)⇒血液分布異常性ショックは動脈または静脈の血管拡張に起因するショックであるため、該当しません。
外傷におけるショック状態では、最初に出血によるショックを疑う必要があります。その他に緊張性気胸などの心外閉塞・拘束性ショックや頸髄損傷による血液分布異常性ショックなどがみられることもあるため、ショックの分類を見分けることが重要です。
※2021年7月12日掲載の再掲載です。