事例
Aさん(70歳、男性)は妻と2人暮らしです。最近、つまずいて転んでしまうことがありました。数日前から左下肢がもつれる感じがし、今朝は立ち上がることができなくなってしまったため、大学病院に救急搬送されました。頭部CTで右慢性硬膜下血腫(Chronic subdural hematoma) が脳実質を圧迫しており、緊急手術目的で入院となりました。入院時の意識は清明ですが、HDS-R 19点です。手術開始は2時間後に決まり、手術の準備を進めています。手術後は硬膜下ドレーンの留置が予測されます。
問題
手術前の説明として適切なのはどれですか。
<正解率73%>
(1)手術後、ドレーンが挿入されるため、抑制を実施することを口頭で説明して同意を得る。
(2)手術後、不穏になる可能性があるので、手術後は抗不安薬を投与することを説明する。
(3)排尿間隔、排尿障害の有無を確認し、ベッド上排泄が難しい場合は尿道留置カテーテルを挿入することを説明する。
… 正解は …
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(3)
… 正解は …
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(3)
解説
(1)⇒ドレーン管理の目的で抑制を実施する必要が生じることもあります。抑制についての説明と同意は、施設のマニュアルに合わせ、同意書を取得する必要があります。
(2)⇒不穏になる可能性はありますが、必要以上に薬剤を使用することでせん妄を助長する危険性があります。
(3)⇒手術後はドレーン挿入に伴い、ベッド上での排泄が予測されます。排尿に対する安静制限の指示が出るかを確認し、必要に応じて尿道留置カテーテルの挿入を検討します。
疾患に伴う認知症症状は手術後に改善することもありますが、慢性硬膜下血腫は高齢者の発症が多く術後せん妄の危険性も考える必要があります。手術後の安全な管理の実施のために、手術前から協力を得られるように説明をします。
※2021年7月19日掲載の再掲載です。