事例
Aさん(70歳、男性)は妻と2人暮らしです。最近、つまずいて転んでしまうことがありました。数日前から左下肢がもつれる感じがし、今朝は立ち上がることができなくなってしまったため、大学病院に救急搬送されました。頭部CTで右慢性硬膜下血腫(Chronic subdural hematoma) が脳実質を圧迫しており、緊急手術目的で入院となりました。入院時の意識は清明ですが、HDS-R 19点です。手術開始は2時間後に決まり、手術の準備を進めています。手術後は硬膜下ドレーンの留置が予測されます。
問題
Aさんの手術翌日のCTでは血腫は軽減していたため、硬膜下ドレーンを抜去しました。左下肢がもつれる感じも改善し、歩行を開始し、手術前のADLに戻っていることを確認しました。数日間経過をみて、自宅退院するように医師から説明を受けました。退院後の生活について説明する内容で正しいものはどれですか。
<正解率88%>
(1)転倒予防、脱水予防に努め、通常の日常生活を送ってよいことを説明する。
(2)ドレーン抜去部は手術後、1週間程度で抜糸するため、それまで洗髪を行わないように説明する。
(3)再発の危険性があるため、退院後も安静にして外出を控えるように説明をする。
… 正解は …
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(1)
… 正解は …
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(1)
解説
(1)⇒脱水になると脳脊髄液が減少し再発の危険性が高くなります。慢性硬膜下血腫の要因となる転倒と脱水の予防を指導します。
(2)⇒1週間程度で抜糸となりますが、感染を防ぐためにも洗髪は実施してもらいます。
(3)⇒手術した慢性硬膜下出血のうち約10%はCTなどで再発を診断され、そのうち5%は再手術が必要となります。しかし、高齢者は過度な安静でADLが低下しないように指導をします。
再発し、症状が再び出現した場合は同じ手術を繰り返すことになります。再発予防に向けた指導を行いますが、高齢者には過度の安静によるADLの低下を防ぐことも重要になります。
※2021年7月23日掲載の再掲載です。