事例
Aさん(70歳、男性)は妻と2人暮らしです。最近、つまずいて転んでしまうことがありました。数日前から左下肢がもつれる感じがし、今朝は立ち上がることができなくなってしまったため、大学病院に救急搬送されました。頭部CTで右慢性硬膜下血腫(Chronic subdural hematoma) が脳実質を圧迫しており、緊急手術目的で入院となりました。入院時の意識は清明ですが、HDS-R 19点です。手術開始は2時間後に決まり、手術の準備を進めています。手術後は硬膜下ドレーンの留置が予測されます。
問題
Aさんは右穿頭血腫洗浄ドレナージ術を行い、病棟に帰室しました。右側に硬膜下ドレーンが挿入されています。外耳孔を0点とし、±0cmで圧設定をするように指示が出ています。術後の管理について正しいものはどれですか。
<正解率77%>
(1)右側臥位の体位変換を避け、仰臥位と左側臥位の体位変換を行った。
(2)頭部を水平位に保ち、ドレーンの圧設定を行った。
(3)禁食の指示であったが、頻尿になる可能性を考え、輸液を中止した。
… 正解は …
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(2)
… 正解は …
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(2)
解説
(1)⇒血腫が貯留されているほうを下にして脳の重さで血腫腔を縮小するようにするため、右側臥位の体位交換も行います。
(2)⇒ベッドアップをすることで脳脊髄液が重力に従って脊髄腔のほうに下がり、脳血流も低下して脳容積や脳圧が下がります。そのため、血腫腔が広がる可能性があるため、頭は水平位に保ち、貯留した血腫を廃液しやすくします。
(3)⇒脱水になると脳脊髄液量が減少し、脳の容積が減少することで血腫が増大する可能性があります。飲水量が確保できるようになるまで輸液量を保つ必要があります。
慢性硬膜下出血は手術を行っても、脳萎縮が強い人などは1週間~数カ月で再発する場合があります。手術後血腫腔が縮小すればするほど再発しにくくなるため、できる限り血腫の排液を促せるよう手術後の管理を行います。