事例
Aさん(30歳、女性)。2年前から会社の健診で徐脈を指摘されていました。半年前から倦怠感、めまいや立ち眩みの症状がありましたが、最近、症状出現の頻度が高くなったため心配になり受診すると、精査と治療目的にて入院することになりました。入院時の血圧100/56mmHg、心拍数30 回/分、呼吸数15回/分、SpO2 96%。入院後、ベッド上臥床の状態で自覚症状はありません。徐脈に対し、プロタノール(塩酸イソプロテレノール)の内服治療が始まりました。
問題
精査の結果、Aさんは完全房室ブロックであったためペースメーカーの植え込み術を行い、術後は順調に回復しています。退院後の指導について適切なものはどれですか。
<正解87%>
(1)ペースメーカー手帳は自宅で大切に保管するように説明する。
(2)ペースメーカーは恒久的であるため、その後の受診は必要ないと説明する。
(3)MRI検査やIH調理器などはペースメーカーの誤作動の危険性があると説明する。
… 正解は …
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(3)
… 正解は …
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(3)
解説
(1)⇒ペースメーカー手帳は設定や管理している医療機関名などが記載されているため、外出の際にも必ず携帯し、受診や検査時に提示するよう説明が必要です。
(2)⇒ペースメーカーは数年に1度は電池交換が必要です。徐脈の状態を観察して設定を変更することもあるため、定期受診は必要です。
(3)⇒ペースメーカーは、磁気の強いものや電子機器により誤作動を起こしてしまう可能性があるため、退院後の生活環境の確認と見直しが大切です。
ペースメーカーは心臓の鼓動が途切れたり、一定以上の間隔を超えると、それを察知して電気刺激を心臓に送り、心臓が正常なリズムで鼓動することを助ける機器です。誤作動は生命の危機に直結するので、それを予防するために入院後の生活環境について情報収集し、IH調理器具や電子レンジの使用中は近づかない、携帯電話は胸ポケットに入れないなどの具体的な説明が必要です。ペースメーカーの誤作動やその他の原因で急に具合が悪くなり、他の医療機関を受診する可能性もあるため、必ずペースメーカー手帳は携帯するように指導します。
※2021年6月18日掲載分の再掲載です。