
2008年にGIST(消化管間質腫瘍)と診断。一生続く抗がん薬治療と付き合いながら、人生を楽しんでいる。患者会「中部GIST患者と家族の会」に、発足時からかかわっている。
▼NPO法人ミーネットとは
がん体験者やその家族を対象に、身近な相談役として「ピアサポーター」を養成。市民・行政・医療機関の連携のもと、愛知県の地域に根ざしたピアサポートを行う。
「今日の一歩は明日の二歩に」
「GIST」と診断されました。「10万人に1人か2人」なんだそうです。宝くじにもあたったことがないのに、なぜそんな病気になったのでしょう。しかも「小腸が原発の大きな腫瘍で、複数の肝転移もある」というのです。
41歳で公務員生活にピリオドを打ち、念願のピアノ講師の仕事に就いて1年。幸せな日々は音を立てて崩れ、さらに容赦ない現実が突き付けられました。小腸の腫瘍は手術で切除するが、転移巣である肝臓は手術できない。完治は見込めず、使える薬は2種類。薬は一生、飲み続けることになる。
私がいま目前にしているのは、断崖絶壁の一本道でした。でも、この道を踏み外すわけにはいきません。がんばるしかないんだと自分を叱咤激励し、手術に臨みました。
ICUから一般病棟の病室に戻った午後に、さっそく歩行訓練が始まりました。腫瘍摘出によって25cmも開腹したため、痛みで体に力が入らず、点滴棒にしがみつきながら必死の思いで立ち上がりました。
――こんなにつらいのに歩くのか―――
おそらく、気持ちがありありと顔に出ていたのでしょう。看護師さんから、こんな声がかけられたのです。「今日の一歩は明日の二歩につながりますよ」。なぜか妙に納得しました。そうだ、そうなんだ。明日のために今日歩くんだ。痛みにくじけそうな心に、その言葉は音波のように響いたのです。一歩、二歩と力を振り絞り、手術前にいた病室に差しかかると、なんと出迎えがありました。同室の入院仲間が私を待ってくれていたのです。その笑顔に「明日」を見た思いがしました。
翌朝、まだ硬膜外麻酔を付けて発熱もありましたが、自力で立ち上がって病室のカーテンを開けました。その日は、点滴棒をお供に病棟の通路1周を余裕でクリアできました。看護師さんの言うとおりでした。
今日の一歩は明日の二歩。いまでも時折この言葉をつぶやいています。
本記事は『YORi-SOU がんナーシング』2023年3号からの再掲載です。
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