平野良子
NPO法人ミーネット ピアサポーター

2009年に子宮頸がんでリンパ節郭清含む広汎手術と放射線治療を受ける。その後、悪性葉状腫瘍にて二度手術を受けた重複がん体験者。治療の後遺症と向き合いながら、第二のライフワークとしてピアサポート活動に取り組んでいる。

▼NPO法人ミーネットとは
がん体験者やその家族を対象に、身近な相談役として「ピアサポーター」を養成。市民・行政・医療機関の連携のもと、愛知県の地域に根ざしたピアサポートを行う。





「一日も休まず、よくがんばりましたね」

ピアサポート活動に取り組む仲間は、がん種・年代・前職など実にさまざまであるが、強い連帯感があるように思う。つらい治療を乗り越えてきた、戦友のような存在だからだろう。どんな治療が、どのようにつらかったのか聞き合うことがあるが、私の場合は子宮頸がんの術後に23回の放射線治療を受けたことだ。

治療の前半は問題はなかったが、後半につれて、強い腹痛を伴う下痢に見舞われた。トイレに行きベッドに戻るとまたすぐ……というほど頻回だったため、ついにはトイレの前に布団を敷いて寝た。食事も摂れず、気力も体力も失せ、体重は瞬く間に10kg以上も落ちた。

それでも、力を振り絞って治療に向かった。当時、アクセサリーショップを展開し、海外での直接買い付けや受注製造にも事業を拡大していた。取引先にもスタッフにも責任を果たさなければという思いから、とにかく早く治療を終えて仕事に復帰したかったのだ。

いよいよ最終日。その日はことのほか下痢症状が強く、前日からほとんど何も口にできていなかった。それでもなんとか照射を終えて治療台から起き上がると、まだ若い、いつもの男性放射線技師が「一日も休まず、よくがんばりましたね」と声をかけてくれた。思いもかけないひと言に驚いたことと体のつらさが相まって、うなずくのが精一杯だった。あれから13年がたった今、お礼を言えなかったことが悔やまれる。

それから1年半後、乳房に腫瘍が見つかり、悪性葉状腫瘍と診断され仕事は断念。しかし今、二つのがんを体験したことを強みとして、ピアサポート活動という生きがいを得た。尿意の喪失、腸閉塞、リンパ浮腫など、いくつもの後遺症を抱えながらではあるけれど、うしろは向かない。

「一日も休まず、よくがんばりましたね」あの放射線技師の言葉に背中を押されている。この場を借りて、心から「ありがとう」と伝えたい。




本記事は『YORi-SOU がんナーシング』2023年6号からの再掲載です。



YORi-SOU がんナーシング2024年2号

YORi-SOU がんナーシング2024年2号
【特集】
動画つき患者指導シート全16枚!
がん薬物療法中患者の副作用・症状
これだけ3分解説


■Part1 進歩するがん薬物療法と副作用症状の変遷
●01 進歩するがん薬物療法と副作用マネジメントでの新たな課題
●02 患者指導の実際と視覚的に伝える動画指導の有用性


■Part2 シートと動画でやさしく伝える 患者アセスメント&ケア
●03 口腔粘膜炎
●04 食欲不振
●05 倦怠感
●06 末梢神経障害
●07 好中球減少症
●08 貧血
●09 血小板減少
●10 悪心
●11 アレルギー症状
●12 味覚障害
●13 呼吸困難
●14 脱毛
●15 皮膚障害
●16 爪障害
●17 下痢
●18 便秘
●19 免疫関連有害事象

■Part3 ナース&患者さんに聞いた!緊急アンケート
●20 ナースに聞いた「よかった」「学んだ」ふり返り体験
●21 患者さんに聞いた「実は……」ふり返り体験

▼詳しくはこちらから




つなキャン

看護専門誌「YORi-SOUがんナーシング」の公式メールマガジン
「つなキャン」

毎月2回 第1・第3月曜日配信

がん(キャンサー)患者さんにかかわる人すべてをつなぐ輪(サークル)をめざし、がん領域の情報、ケアの奥深さ・楽しさ・お役立ち情報をお伝えします。

【登録方法】
こちらから「ログイン」
②ページ上部にある「ログイン中(登録・注文情報)」を選択
③会員名の横にある「マイページはこちら」を選択
③「メルマガ購読・解除」を選択して『つなキャン』の「購読する」ボタンを押して登録完了
※メディカIDをお持ちでない方は新規会員登録が必要です。

YORi-SOU がんナーシングの公式「X」もよければフォローください