藤川初美
NPO法人愛媛がんサポートおれんじの会

2008年12月、腹膜がんで手術・抗がん薬治療。2015年8月、乳がんで右乳房全摘・ホルモン治療。2023年4月、早期胃がんで内視鏡手術。と、3度のがんを経験。現在はピアサポーターとして活動している。

▼NPO法人愛媛がんサポートおれんじの会とは?
2008年に誕生した、主に愛媛県内のがん患者と家族、遺族などが集う会。毎月の例会の他、松山市内中心部で常設の語り合いの場「町なかサロン」を運営している。





「痛くて夜も眠れないのはつらいよね」

2023年4月、胃がんの診断を受け治療のため入院しました。幸い早期のため内視鏡での手術でした。手術が無事に終わりベッドで点滴をうけていると、腰と背中が痛み出し、じっとしていてもこらえきれない痛みが続きました。術後は痛み止めを飲むことができなかったため、主治医に症状を伝えて湿布を処方してもらいました。

数日間湿布を貼りましたが、痛みは増すばかり。痛みで夜も眠ることができません。血圧も高い状態が続きました。痛み止めの点滴をしてもらいましたが、あまり効果がなく、痛みと闘うつらい時間を過ごしていました。

そんなとき、その夜の担当看護師さんが声をかけてくれました。「痛み止めの点滴で少しは楽になった?」私が、痛みが取れないことを伝えると「もう少し強い痛み止めを点滴をしてみますか? 主治医から許可をもらっているので。痛くて夜も眠れないのはつらいよね。このお薬を点滴したら眠れると思うので、今夜ぐらいはゆっくり眠ってね。眠ることができれば、きっと血圧も下がると思うし」と言って、点滴をしてくれたのです。

点滴が終わった途端に眠気に襲われ、その夜は朝までぐっすり眠ることができました。そして、翌朝には腰や背中の激しい痛みも和らぎ、血圧も正常になりました。

痛いという事実の確認だけではなく、「痛みに苦しんでいたことを分かってもらえた」と思えたこと。「痛みから解放されるかも知れない」と思えたことは、そのときの私にとって何よりの救いでした。

点滴の後は、ずっと苦しんだ痛みが嘘のようになくなり、食事も摂れるようになり、順調に回復しました。

あのときの看護師さんの言葉に、心も身体も救われました。




本記事は『YORi-SOU がんナーシング』2024年3号からの再掲載です。

YORi-SOU がんナーシング2024年3号

YORi-SOU がんナーシング2024年3号
【第1特集】
動画で患者指導ができる!
がん薬物療法のCVポート管理ビジュアルガイド


■Part 1 患者指導に使える! やさしく学べるCVポート
●01 CVポートとは? どんな役割がある? CVポートの基本Q&A

■Part 2 トラブルQ&Aつき CVポート手技実践ガイド
●02 CVポートの留置術とは?留置前→留置後の流れを解説
●03 写真で流れを確認!ポート留置後の管理・輸液投与とケアの手順
●04 こんなときはどうする? トラブルQ&A

■Part 3 患者さん・家族からよく聞かれる質問大集合! 自宅でのCVポート管理Q&A
●05 患者さんと一緒に学ぶ!自宅でポート針を抜くための手順解説

■Part 4 エビデンスを示して答えられるようになる! 新人・後輩からのQ&A
●06 臨床で生かせる! これが知りたいCVポートのケア

■Part 5 患者指導にそのまま渡せる! 動画つきDLシート集
●07 CVポートの留置を考え中の患者さん・ご家族へ
●08 ~CVポートを留置している患者さん・ご家族へ~生活の注意ポイント
●09 ~CVポートを留置している患者さん・ご家族へ~薬液注入中のCVポートを確認しましょう★1日2回★チェック表
●10 ~CVポートを留置している患者さん・ご家族へ~このような症状に注意が必要です!CVポートのトラブルチェック
●11 ~CVポートを留置している患者さん・ご家族へ~大切な家族の安心・安全のために抗がん薬治療中に注意するポイント
●12 ~CVポートを留置している患者さん・ご家族へ~動画をみながらおさらいしましょう!自宅でポート針を抜く方法


【第2特集】
QOLを上げるためのナースのかかわりかたを見つけよう、シェアしよう
高齢がん患者の治療選択


■Part 1 ツールの使いかた、コミュニケーションのヒントも!高齢がん患者の特徴を学び直し
●01 高齢がん患者と治療選択を取り巻く現状~ナースがぶつかる課題~
●02 高齢がん患者の生理学的特徴
●03 高齢がん患者のアセスメント~機能評価ツールの使いかた~

■Part 2 かかわりかたのヒントを見つける ふりかえり症例
●04 ふりかえり症例1
手術療法を選択せず、大腸ステント治療を選択した80代患者さん
●05 ふりかえり症例2
頭頸部がん術後の化学放射線療法の治療途中で入院された70代患者さん
●06 ふりかえり症例3
侵襲の高い手術療法を受けた80代患者さん
●07 ふりかえり症例4
がん薬物療法を治療中だったが、副作用(合併症)により治療中止となった80代患者さん

▼詳しくはこちらから




つなキャン

看護専門誌「YORi-SOUがんナーシング」の公式メールマガジン
「つなキャン」

毎月2回 第1・第3月曜日配信

がん(キャンサー)患者さんにかかわる人すべてをつなぐ輪(サークル)をめざし、がん領域の情報、ケアの奥深さ・楽しさ・お役立ち情報をお伝えします。

【登録方法】
こちらから「ログイン」
②ページ上部にある「ログイン中(登録・注文情報)」を選択
③会員名の横にある「マイページはこちら」を選択
③「メルマガ購読・解除」を選択して『つなキャン』の「購読する」ボタンを押して登録完了
※メディカIDをお持ちでない方は新規会員登録が必要です。

YORi-SOU がんナーシングの公式「X」もよければフォローください