新卒では看護師の仕事には就かず、農林大学校へ進学したまめこさんは、コロナ禍に初めて病院で働きはじめ、農林大学校は退学することに。病院勤務は週3日、働き始めて2カ月が経ちました。看護助手業務からスタートして、現在は緊張や不安を感じながらも周囲の温かい声かけにも助けられ、入浴介助や食事介助を担当していましたが、業務内容も徐々に変わりつつあり、褥瘡の処置にもかかわりはじめました。そんなとき突然、所属フロアを異動することになり、利用する休憩室、タイムカードを押す場所も変わり、どう振舞えばいいのか不安を感じながらの勤務が始まりました。一方、ダメ元でアルバイトに応募した皮膚科クリニックでの採用が決まり、制服のサイズ合わせに行きました……
連載を読んでくださっているみなさんへ
2021年1月からスタートしたこの連載も、来年3月末をもって終了することになりました。前回、皮膚科クリニックに採用されたときの話を書きましたが、このあとも様々な出来事がありましたので、これから駆け足で現在に向けてどんどん話を進めていこうと思います。
ここまで、看護学生時代をはじめ、小学生や中学生のころのことも振り返りながら書いている回もあり、連載開始4年目にして看護師1年目のときのことをまだ書いています(笑)。
連載開始当初、看護師1年目だった私が「いままさに1年目」の話を書いていたはずが、徐々に現実と連載の時間軸が離れていってしまいました。
毎勤務時、「今日、私は1日大丈夫だろうか」と思いながら働き、1週間先も1カ月先も想像もつかなかった私でしたが、現在看護師5年目になりました。
なんてことでしょう。
皮膚科クリニックは退職しましたが、いまも病院で働いているのです。そして先日、看護研究の院内発表も行いました。
非常勤、週3回、午前中、看護助手業務から始めた病院勤務。最初に渡された白衣には過去に所有者だった人の名前が書いてあり、それに二重線が引かれ、横に私の名前が書いてありました。
先天的にコミュニケーションに困難がある発達障害を持つ私がこんなに看護師を続けられるとは、誰も思っていなかったと思います。私がいちばん疑っていました。
なぜ私が看護師を続けているのか、続けられているのか、5年目になったいまもわかっていません。
「向いている」とは?
これまでずっと私は「看護師には向いていない」と思ってきました。でも5年目になって、最近思うのです。「看護師に向いていない」と言い切る自信がなくなってきたなと。
自分が看護師に向いていないと思っていても、続いているという現実が、「それは“向いている”と思っていいんじゃないの」と言ってきている気がするのです。
「仕事何してるの?」と聞かれて「看護師です」と答えられなかった私が、看護師に向いている? そんなはずはない。
私より看護師に向いていない人はほとんどいないと思うくらいマイナスからのスタートでした。だから、困難を持つ私が看護師を5年もやれている現実が、誰かの心の支えになったらいいなと思っています。
いまでも人と目を合わせて話すのは苦手だし、人に触れるのも触れられるのも苦手だし、電話に出るのも苦手です(内線に出たくなさすぎて、記録はナースステーションで書かないようにしています)。
さまざまな場面で難しいなと思うことは多々あります。でも、向いていない、できない、続けられない、わけではないみたいです。
向いているって何なのでしょうね。
私たちは「好きだ」「できる」「得意」「期待される」「向いている」をどう解釈して、どう判断すればいいのでしょうか。
先天的にコミュニケーションに困難があるからASDと診断されているのに、やっているのはコミュニケーション能力が求められる看護師。意味わからないなと自分でも思います。
もしこの先も看護師を続ける未来があったらどうしようと思うのです。「向いていない」と思っている仕事を続けるってなかなか勇気のいることです。もっと自分に合っている仕事があるのではないかと常に探してきた4年間でした。でも看護師を「続ける」を選択し続けたのです。
この連載を始めるきっかけも、看護師を辞めて編集者になろうと面接を受けたのがきっかけでした。「編集者よりもライターの方が向いていると思う」と面接で言われ、「看護師続けながらライターやったほうがいい」とも言われたのです。私は、看護師を辞めるきっかけが欲しくて受けたのに。
不思議なことに、縁があって、看護師を続けることになり、連載も長くやらせていただきました。人生がどう進むかは、まじで予測不可能です。
読んでくださっている皆様!
来年3月まで、引き続きよろしくお願いします!(それまでに急に看護師を辞めることになってたりして(笑))