農林大学校に退学届の提出や寮の荷物整理に向かう電車の中でこれまでの学校生活を思い起こしています。農林大学校には部活動がありました。高校時代は看護師になるための勉強を最優先し、活動日数の少ない部活に入り、友だちと放課後に遊ぶこともなし。部活に憧れがあるものの、1人で行くには恐怖心があります。でもこのチャンスは逃したくない。そんなとき、すでにバレーボール部に体験入部に行った子に出会い、誘われて一緒に行くことに。初日は緊張したものの、体験入部に来た新入生を喜ぶ先輩を見て、緊張もほどけていきました……
久しぶりの運動
中学生時代は部活でバレーボールをしていましたが、高校は文化部の幽霊部員でした。習い事で小学4年生からダンスをやっていましたが、18歳でやめたので運動という運動は約2年ぶり。
久しぶりにサーブを打ってみるとまったく打てません。左手でボールを上げるのも安定せず、右腕を振り切る感覚も身体が忘れていました。どこの筋肉を意識して動かしたらいいかわかりません。
かろうじてレシーブはできるものの、スパイクは踏み切るタイミングや空中で腕を振り切る感覚もわからなくなっており、終始ぐだぐだで体験入部初日を終えました。
「人数多いとめっちゃ楽しい!! みんなまた来てね! 待ってるからね!」とテンション常に高めな先輩が声をかけてくれます。
中学校のバレーボール部とは違い、学年の隔てなく和気あいあいとできて、楽しかったです。先輩方の人柄のおかげです。
こうして授業後の部活が楽しみで仕方がない学生生活が始まりました。体育館が使えない日も外でバレーボールやるほど楽しくて仕方がなかったんです。
この写真は入部してからの写真ですが、相変わらず疲れてへばってます(笑)。
部活が終わると
体験入部が終わると夜ご飯の時間になっていました。寮生活をしているので食堂に行ってみんなで食べます。
部活で会った子「めっちゃお腹すいたね〜。ご飯一緒にいこ!」
私「そうだね〜! いこー!」
私を部活に誘ってくれた子「私、部屋の子と一緒に行く約束してるからまた今度ねー!」
いままでは寮の部屋の子とご飯に行っていたので、他の子と一緒に行くのは初めてです。一緒にバレーボールしたものの、話したことはなかったので緊張します。
寮生御用達の食堂
寮生全員が使う食堂はとても広いです。昼は通学生も使いますが、夜は寮生だけです。それでも120人ぐらいは来ます。
自分でおぼんを取って、好きなだけご飯を盛って、おかずを取りに行く方式です。おかずはお皿に入っているので1人1つですが、たまに追加でもらえたりします。残り物をもらいたくて食堂が閉まるギリギリまで待ったことが何度もありました。若さ溢れる行動ですね(笑)。
部活で会った子「お腹空き過ぎてやばいんだけど(笑)」
私「ほんと動くとお腹空くね〜」
彼女とご飯を食べながらいろいろと話していると、農業高校出身なこと、専攻は酪農肉牛コースなこと、バレーボール経験者であることなどがわかりました(これからCちゃんと記載します)。
農林大学校生の多くは付属校かなと思うほど農業高校から進学しているので、Cちゃんは知り合いが多いのです。夜ご飯を食べているときも「部活行ってきたん? どうだった?」と話しかけられていました。
食事とコミュニケーション
私はもともと人とご飯を食べるのが苦手です。誰かと一緒にいるとご飯に集中できなくて、ご飯を食べているのかどうか脳が認識できないようなのです。それに食べるスピードが異様に遅いので、話しながら食べていると昼休み内に食べ終えられません。
なので、看護学生のときは友だちと一緒にご飯食べていましたが、食べ終わるまで無言で食べていました。食べ終われば話せるのですが、それでも授業で疲れていてほとんど話さず、午後の授業が始まることもありました。
話したとしても、授業でわからなかったことを聞いたり次の授業は何だったか聞くとかだったので、ほぼ雑談はしていませんでした。それに、みな忙しくてテレビも映画も観ていないので話せることがないんですよね(笑)。こう書くと異様ですが、それを当たり前として看護学生生活を送っていました。
それに高校3年生のとあることがきっかけとなり、それ以来教室でご飯が食べられなくなったので、人の少ない多目的ホールで食べていました。1年半、夏は暑い中、冬は寒い中、多目的ホールで食べることに付き合ってくれた友だちにはとても感謝しています。
誰かと話しながら食べるって、時間的にも精神的にも余裕がないとできないことです。なので、こうして農林大学校に進学して、たくさんの人がいるなかで人と話しながらご飯を食べられることが新鮮でした。
5年一貫の看護高校卒業後、林業学校に進学。現在は、病院と皮膚科クリニック のダブルワークをしながら、発達障害を持っていても負担なく働ける方法を模索中。ひなたぼっこが大好きで、天気がいい日はベランダでご飯を食べる。ちょっとした自慢はメリル・ストリープと握手したことがあること。最果タヒ著『君の言い訳は、最高の芸術』が好きな人はソウルメイトだと思ってる。ゴッホとモネが好き。夜中に食べる納豆ごはんは最強。