講師の大内さんは京都大学医学部附属病院の看護部管理室に勤務していまして、おもに外来にいらっしゃる「がん患者さんの意思決定支援」や院内の看護師の「がん看護教育」に携わっています。現場の第一線で活躍中の大内さんに、“臨床現場の看護研究”についてご講義いただきました。講師の大内紗也子 さん(京都大学医学部附属病院 看護部/がん看護専門看護師)にお話をお伺いいたしました。
――大内さんのセミナーは、臨床の現場ナースによる、現場ナースのための、看護研究セミナーなのが特長の1つと思います。今回、講義をするにあたり、強調したところや、工夫したところがあれば教えてください。
現場での「文献検討する機会がない」「指導してくれる人がいない」などさまざまな問題があっても、その中で使える資源、頼れる人を探すなど工夫をしながら看護研究を行うことができるように使える資源を盛り込んだつもりです。
――講義の中で、「現場のナースが看護研究を進めるうえで、時間の確保、指導者の不在、経済面などの問題があり、研究した成果が現場に反映されないという指摘もある」という説明があったかと思います。そういった状況だとしても、現場のナースが看護研究をする意義はどういったところにあると思いますか?
日頃現場で働いていることの意味や成果を明らかにすること、患者さんへの日頃のケアの質を上げるためには現場のナースが日頃のケアを検証したり、発信したりすることが現場のナースが看護研究に取り組む意義だと思います。
――「看護研究を行うなかで、心がくじける経験はいくつもあります」というお話しがございました。大内さんが今も記憶に残る「心がくじける経験」を教えていただけないでしょうか。
今もくじけている最中なのですが、真実に迫ろうとしても自分の先入観や自分の中にある前提を崩すことができず、途方に暮れることがあります。 それでもやっぱり日頃の患者さんとのかかわりの中で「どうして?」とか「これはちゃんと世に示したい!」という思いを再度思い出し「やっぱり頑張ろう」と考え直します。
――メディカLIBRARY(今回のインタビューが掲載されるWEBメディア)は「学び方を学ぶ、選択肢をふやす」がコンセプトなのですが、私たちのこれからの「学び方」「選択肢」について思うところがございましたら、お聴かせください。
看護師はどうしても「問題解決思考」になりがちです。もちろん日々の業務の中で問題を解決していくことは必要なのですが、看護師としての長いキャリアの中ですべてを「問題解決思考」で通り抜けることは難しいと思います。看護師としてのキャリアの中で困難にぶつかった際には「学び方」や自らで選ぶことができる「選択肢」を知っておくことは大きな財産になると思います!
――最後に受講者へメッセージをお願いします!
現場のナースが現場で起こっている問題を研究の種として取り上げ、世に示すことは小さな一歩でもとても大切なことです。日々交代勤務をこなしながら看護研究をすることはとても骨の折れる作業だと思いますが、少しずつでも進めていくことが大切だと思います。くじけず、少しずつ前に進んでいきましょう。
京都大学医学部附属病院 看護部/がん看護専門看護師
▼プログラム(収録時間:約90分)
■イントロダクション:看護研究とは
■看護研究のプロセス 1:研究したい疑問をもち、煮詰める
■看護研究のプロセス 2:何を見つけたいのかを焦点化する …ほか
■看護研究のプロセス 3:どのような対象者からどんなデータをどのように収集するか方法を決める
■看護研究のプロセス 4:選択した対象者から実際にデータ収集し、分析する …ほか
■看護研究のプロセス 5:論文にする …ほか
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