『“超”実践!高齢者の栄養ケア』の著者によるオンラインセミナーがこのたびリリースしました。「栄養は難しくてよくわからない」「今までなんとなくの知識で栄養をやり過ごしてきた」そんな思いを抱えた看護師さんを対象にしたセミナーです。講師の森 茂雄 先生にセミナーの聴きどころをインタビューしました。

――病棟ナースにとって「栄養ケア」「経腸栄養」でどんなところが「よくわからない」「苦手意識」と思いますか?

この栄養分野は、NST(栄養サポートチーム)の普及に伴い、知られるようになりました。まだ、数十年という歴史ですが、近年の栄養療法の普及は目覚ましいものがあります。しかし、栄養の必要性はわかっていても具体的に看護師の皆さんは、何をどのようにしたらよいかわからない人が多いと思います。

わたしは、看護学生さんの栄養学や生化学の授業を担当させていただいているのですが、元素記号に始まり、栄養素の種類、代謝経路を見ただけで「うわっ!!難しそう……。」と思わせるイメージが強いのではないかと思います。難しい言葉をそのまま理解しようとするよりも、大まかなイメージさえつかめたら、しめたものです。栄養はそれほど難しいことはありません。

まずは、日常の業務のなかで看護と栄養がどのようなところで関係しているかを知るだけで、わからないことがわかるようになります。

――企画書にKeywordとして以下を挙げてくれていました。
「管理栄養士、栄養士、看護師、病棟ナース、ナース、簡単、初心者、誰でも、わかる、活かせる、疑問解決、コツ、ポイント」
今回、講義をするにあたり、意識したところや、工夫したところがあれば教えてください。

栄養は、簡単で誰にでもできることがほとんどです。できるだけシンプルにお伝えするために、簡単な例え話をいれています。例えば栄養剤は、数百も種類があって、とても覚えきれません。実際に私も知らない栄養剤が山ほどあるので、栄養剤をポイントで覚えるようにしています。要するに、栄養剤の詳細を細かく覚えすぎないで、身近にある料理や組み合わせに置き換えてもらうとわかりやすくなります

その他に初期治療として絶食状態で維持輸液しか入っていないケースがあると思いますが、腸管が使用できない、循環動態が安定しないなどの理由がある場合は除き、何となく絶食になっているケースも珍しくありません。想像してみてください!! あなたが入院して栄養が必要な状態なのに1日にスポーツドリンク1.5~2L(数百Kcal程度)しか飲ませてもらえなかったら……。想像しただけで辛いですし、元気になるはずがありませんよね。

まずは、経腸栄養の初心者を脱出するために必要な項目を網羅したので、普段の業務をイメージしながら気楽に動画を見ていただけたら嬉しいです

――講義の導入のところで、「栄養療法=患者の自然治癒力を引き出す」という点で「どの患者さんにも適応できる」というお話しがありました。森先生は、現場ではどんな患者さんによい適応があると感じていますか?

私は、急性期から慢性期、介護施設、在宅、看取りまで幅広い分野に携わらせていただいたことで、どの患者さんにも栄養療法は適応できると実感しています。診療科によっては、データから判断したり、見た目で判断する診療科とさまざまです。積極的な治療を要する急性期には足し算の栄養管理人生の最終段階では引き算の栄養管理を意識しています。

「よい適応」という解釈にはいろいろな答えがありますが、栄養療法の効果を高めやすいのは、入院早期の患者さんにはよい適応があると考えています。患者さんは入院前から食べられない、必要栄養量が不足しているケースが多いので入院1病日には、すでに栄養不良が進行していることも珍しくありません。

さらに、入院から数日して食べられないと判断されてから栄養補助食品をつけたり、強制栄養(経腸栄養・静脈栄養)といった段階的な介入になりやすいことも栄養療法の開始を遅らせる要因です。入院病日よりも栄養不良の経過日数は多いと想定しておくと栄養療法の介入を早め、よい適応患者さんをたくさん改善できると考えています。

――春ということで、たくさんの新入職スタッフの方が現場で頑張られていると思います。そういう方たちに、「栄養ケア」に携わってきてよかったと感じたエピソードがあれば、お聴かせください。

新人看護師Aさんから食欲不振の患者さんの相談がありました。Aさんは、まだ知識や経験も少ないのですが一生懸命患者さんのことをみて情報を伝えてくれました。食べられない原因を一緒に考えて、薬の調整が必要であることがわかり薬剤師さんに相談、食事や飲水方法の変更が必要であったため他の看護師さんと一緒になって改善に取り組みました。

1週間後、患者さんの食事摂取量が改善し、とても元気になっていきました。これは、患者さん自身が頑張ったからという前提ですが、Aさんが患者さんをよくみてくれていたことが大きいです。

Aさんは、確かに経験や知識が豊富ではありませんが、患者さんに元気になって欲しいと思って関わっていたことで食欲不振の原因となる糸口をみつけることができました。私は「すごい看護師さんとよい看護師さんは違う」と思っています。すごい看護師さんは知識や経験があって憧れの存在ですが、それが必ずしもよい看護師さんではないかもしれないからです。よい看護師さんとは目の前の患者さんに何ができるか一生懸命考えて役に立とうとしている看護師さんですから、そこに知識や経験年数は関係がないかもしれないと教わったお話でした。ちなみにAさんは、すごくてよい看護師さんとしてバリバリ活躍していらっしゃいます。

――最後に受講者へメッセージをお願いします!

私がチーム医療でもっとも連携しなくてはいけないと思っているのは看護師さんです。理由は、患者さんの一番近くにいるのは看護師さんですし、看護師さんしか知らない情報がとても多いからです。

看護師の皆さんがいなければ私達の仕事は成り立ちません。日頃から助けていただいてありがとうございます!! そんな感謝の意味も込めて、皆さんのお役に立てればと思い、栄養に関するお話をさせていただきました。栄養は、ぜんぜん難しくないです。誰でも簡単に携われますから、気軽に受講していただければ幸いです。

森 茂雄
愛知県厚生農業協同組合連合会 豊田厚生病院 栄養管理室 管理栄養士





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『病棟ナースのための栄養の基礎と実践 ~管理栄養士モリーの経腸栄養の初心者脱出!~』
「なるほどっ!!」とわかれば看護と栄養が結びつく


▼プログラム
<基礎編>
CHAPTER 1.経腸栄養とは
CHAPTER 2.栄養剤の種類
CHAPTER 3.投与方法
<実践編>
CHAPTER 4.必要栄養量の算出
CHAPTER 5.経腸栄養の評価


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