このたびオンライン講義『ベッドサイドの感染対策 キホン総点検』(詳しくはこちら)がリリースされました。排泄ケアや吸引、カテーテル関連などのベッドサイドの感染対策から、知っておきたい感染症・抗菌薬の基本までを、わかりやすいご講演で有名な四宮 聡先生が解説します。今回は、講師をおつとめいただく四宮 聡先生に、本セミナーについてお話を伺いました。
編集部:最初に自己紹介も兼ねて、普段どんなご施設で働いているか、また、どのように感染対策に携わっているか、お伺いしてもいいでしょうか。
四宮:はい、私は大阪の北部にある箕面市で、いわゆる地域の中核病院で働いています。感染対策については15、6年、専従というかたちでずっと携わっています。
院内・院外も含めて、ほぼすべて網羅できるような感染対策のかかわり方をさせてもらっています。なので、特定の感染の分野というよりは、幅広く一般的な感染対策について、現場を支援する立場で活動しています。
編集部:それでは、今回のセミナーの聞きどころをお伺いできますでしょうか。
四宮:そうですね。セミナーは、短時間で、必要なことを、必要な量で勉強できるっていうのが一番大事かなと思っています。なので、その中身としてはやはり現場中心によく遭遇するであろうものを中心に、その中でも「どうしてやらないといけないのか」「どういう科学的な根拠が今の時点ではあるのか」というところをご説明することが皆さんにとっても、おそらくお役に立てるんじゃないかなと思います。
今、情報量がすごく多い世の中になっているので、必要なものを、必要な量、必要なタイミングでっていうところはすごく難しさを感じるところも皆さんあると思います。なので、そういったところをグッと凝縮して、時短ではないんですけど、効率よく学習していただける点がこのセミナーのいいところだと思います。
編集部:ありがとうございます。確かに感染対策といっても学ばないといけないことは膨大で、何を学べばいいのかと悩まれている方もいらっしゃるかと思います。そこを、ここは知っておいた方がいいよっていうところをセレクトして教えてくれている講義かなと思いました。
つづいて、先生がベッドサイドナースに感染対策を広めるうえで、こだわっているところを教えてください。
四宮:一つは「地に足がついた」という表現が適切なのかわからないですけど、なんでやらないといけないのか、わからないことをやらされるのは誰でも嫌なので、どうしてそれをしないといけないのかといったところをなるべく丁寧に伝えるようにしています。
あとは、「仕組み化する」「見える化する」っていうのは非常に大事なことです。感染対策ってみんなで取り組むものですので、意識高いからできて、そうじゃないからできないっていう、そのギャップを減らしていく。といったところも大事にしています。そういう意味で、こういったセミナーを幅広くみなさんに観ていただくことで、情報の格差がなくなればと思います。
基本的に、患者さんのことをどうでもいいと思ってる医療者っていないと思うんですよね……みんなよくなって欲しい、早く回復して欲しいと思っているなかで、たくさん病棟業務をしないといけない。そういう状況で、効率よく効果的に感染対策をどう広めるか、どう支援するか、といったことを心掛けて活動しています。
編集室:ありがとうございます。あと、コロナ禍を経て、ベッドサイドの感染対策が変わってきたところはございますでしょうか?
四宮:良いところと、悪いところがあるかなと思っています。
一つは、良いところから先に言うと、感染症が危ないリスクになることが非常に幅広く認識されたことは、良いところだと思っています。
それは、個人のレベルでもそうだし、病棟のレベルでも、病院のレベルでもそうだし、地域のレベルでもある一定の期間にこうグッと感染症が増えてしまうと、本当にいろんなところに影響が出てくることを皆さんがよくわかってくださったので、ま、平たく言うと「感染症はリスクなんだ。危険なもんなんだ」っていうところの意識が広まったことは良いところかなと思います。
ただ一方で、悪いところで言うと――日本人の気質があるかもしれないのですが――「喉元過ぎれば……」みたいなところも少しあって、コロナが終わった後に、今までやってきたことがどうだったのかっていうことを振り返ったりとか、いまだに二重手袋をしようとしてみたりとか、手袋の上から消毒しようとしてみたりとか、感染対策の原則から少し逸脱というか本来やってこなかったことがコロナ禍を経たがために、少し悪い方向に向かっているところも現場では起こっていると思います。
そういう、良いところと悪いところ両方をしっかりと認識したうえで、今考えられる効果的で効率的なやり方にもう一度戻っていく必要はあるんだろうなとは思います。
編集室:わかりました。ありがとうございます。最後にこの記事を読んでくださっている読者にメッセージをお願いします。
四宮:そうですね。ぜひセミナーをご視聴いただいて――貴重な時間を皆さんにいただいてご視聴いただきますので、受講後には、仕事に対しての姿勢が少しワクワクするというか、現場で起こっていることを、知識を得ることで景色が新しくなるような、楽しむ視点を持って業務に向かっている、自分の成長を感じていただけると嬉しいです。
四宮 聡
箕面市立病院 感染制御部 副部長
感染管理認定看護師
▼プログラム
1.感染対策の基礎知識を復習しよう
感染対策は「うつる道」から考える! ベッドサイドでの基本をおさらいしよう!
そもそも感染対策はなぜ必要なのか?
病棟で目指すべき感染対策のゴールは?
標準予防策と感染経路別予防策を振り返ろう
PPEと環境衛生のエビデンスとエッセンス
【質問コーナー】
・手袋の着用前と外した後の手指衛生は必要ですか?
・サージカルマスクを2重にしたら効果は上がりますか?
2.ベッドサイドの感染対策と 感染リスクを見える化する
普段汎用する手技の中で譲れないタイミングを考え、効果的な感染対策を効率よくできるようになろう!
主要なケアと手指衛生・PPEの関連
排泄ケア
吐物処理
経管栄養
吸引
採血(血培含む)
【質問コーナー】
・嘔吐などの消化器症状のある患者との隔離と、嘔吐物に同室であった患者の健康観察はいつまで継続が必要ですか?
3.感染リスクの高いカテーテル対策と手術部位感染対策ガイドラインをマルっと理解しよう
カテーテルを入れなければカテーテル関連の感染は起きない! 必要性をアセスメントして抜去の提案につなげられるようになろう!
末梢静脈カテーテル
中心静脈カテーテル
尿道留置カテーテル
手術部位感染対策
【質問コーナー】
・ポート留置患者さんで血液培養(+)になったら抜去しないといけませんか?
・尿道留置カテ―テルの適応を病棟全体で守るためのコツはありませんか?
4.感染症の診断・治療の理解を深めるためのポイント
どのように抗菌薬が選ばれているか理解し、細菌検査の重要なポイントを押さえよう!
抗菌薬適正使用とは
細菌検査のここだけは!
主要な病原体の特徴を押さえる
主治医の思考が理解できる! 抗菌薬のエッセンスを習得
【質問コーナー】
・培養なしに抗菌薬を決めている医師、血液培養を面倒に思うスタッフへの認識を深めるために何ができるでしょうか?
5.遭遇頻度の高い感染症
よく出会う感染症を具体的に解説! ポイントを押さえてアセスメントに活かそう!
肺炎
尿路感染
インフルエンザ
COVID-19
皮膚軟部感染症
【質問コーナー】
・抗菌薬の種類が多くて覚えられません。よい方法はありますでしょうか
・抗菌薬のことを医師へ言うのは失礼だと思い、疑問をもっても伝えにくいです。
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