2024年初夏に開催した人気セミナーを今年も開催します。例年、ご好評いただいている「ほめる・しかる」はそのままに、Z世代ナースが求める、第3の指導法「フィードバック」の内容をさらに進化させてお届けします。 講師をつとめていただく野津浩嗣先生(国際コーチング連盟マスター認定コーチ、有限会社AEメディカル代表取締役)に、セミナーについてお話を伺いました。


――ホメシカ理論とはどういうものなのでしょうか?

ホメシカ理論のホメは「ほめる」、シカは「しかる」ということで、韻がいいので、「ホメシカ理論」と、私が勝手に名づけました。決してホメシカという鹿がいるわけではありません(笑)。



ゆとり世代(今の30代の方々)が社会に出はじめたころ、「今までと違って指導が難しいよね」という声が、聞こえてくるようになりました。学校教育の変遷をたどってみると、文科省カリキュラムの「ゆとり教育」以降、先生が生徒をほめる、認めるアプローチを増やしていることがわかります。昔と違って、今の学校の先生は、滅多にしかったり怒ったりしなくなったのですが、医療現場で指導する昭和世代の多くは、このことに気づいていませんでした。

私も、それで「ほめるをメインにして、ときどきしかりましょうね」と講義でも伝えるようになっていきました。 指導スキルの「ほめる」と「しかる」を車の両輪にたとえ、ホメシカ理論を提唱するようになったのです。

心理学用語に「返報性の原理」という言葉があります。返報性というのは、ある人に施しをうけると、その人にお返ししたくなる心理のことです。実は、「ほめる」と「しかる」にも返報性があって、たくさんたくさん「ほめる」人の「しかる」や「注意」は受け取りやすいのです。

「あれだけ私のことをほめてくれている、あれだけ私のことを認めてくれている人が注意してくれるということは、きっと私のために言ってくれているんだな」と理解するのです。返報性があるということを理解すると、まず「ほめる」、その後に「しかる」という順番で伝えるホメシカの指導方法は非常に効果的なのです。

――今回のセミナーの聴きどころ、どんな方に参加していただきたいか?について教えてください。

今回のセミナーは、前回より少しリニューアルします。Z世代ナースが社会に出て5年経ちますが、Z世代の人たちも、コロナ前・中・後と3世代に分けられて、それぞれ特徴も違います。

ゆとり世代から引き続いて、Z世代もほめられる方がモチベーション上がるタイプが多いです。さらに、傾向としてわかってきたことは、Z世代はコスパ・タイパという言葉に象徴されるように、「なぜこれをやる必要があるのか」という理由や目的が重要なのです。

ほめられているだけだったら、次にどこに進んでいいかわからないのです。「正しい方向性を示してほしい」とフィードバックを欲しがる世代なのです。コスパ・タイパよく、正しいことを最短でやりたいという考え方が背景にあります。

そこで、今回のセミナーでは 「ほめる」、「しかる」に加えて、「伝える」スキルのフィードバックを強化しました。フィードバックを正確には理解できていない方にこのセミナーに参加していただいて、誤解を解き、「こういうことだったのか!」という体験をしていただければ、嬉しいです。

――こういったセミナーでよく出る質問「なんで私たちが若い世代に合わせないといけないの?」という指導者の嘆きについて、どうアドバイスされますか?

30代後半は、「ゆとり移行期」、35歳から下は、完全に「ゆとり教育世代」です。 つまり40歳から下の社会人は、ほめられて伸びるタイプが非常に多く、ほめ系コミュニケーションで育ってきているのです。

組織全体(看護部)として考えると、しかられたり、厳しくされたりした昭和世代の割合は、減っています。まず、この事実に気づかなければいけません。

「昔はね・・・。」 「私があなたたちの時代にはね・・・。」 「この年齢になったら・・・。」と言ったところで、Z世代の本人たちは、「それ、昔の話でしょう。今は違いますもんね」と、まったく納得しないわけです。

だからこそ、昭和世代の管理職やリーダーが人材育成の役割を担う以上、ほめ系コミュニケーションを習得して、今の世代がいかに働きやすい環境にするかが大切です。これだけ多様性の時代で、いろんな価値観の人たちをマネジメントしていく必要がある中で、それに対応することも、私たち昭和世代の役割だと思っています。

――最後に、オンラインセミナー全盛のいま、あえて会場でのリアルセミナー にこだわられているのはなぜでしょうか?

オンラインセミナーの場合、入室する1分前ぐらいに心の準備をする人が多いです。一方、リアルセミナーでは、朝起きて、ご飯を食べて、服を着替えて・・・・これらの時間から心の準備が始まっています。ですので、セミナー会場に入った時とオンラインでスイッチで入室した時の温度感、本気度がかなり違います。

そして何より忙しい中、会場に来たからには、「絶対に新しいスキルを身につけて帰りたい・・・・」。 「困っていることを講師に聞いて、必ず解決して帰ろう・・・」。と思っています。

これまでに4,400回以上、リアルセミナーとオンラインのセミナーの講師をしてきましたが、プレイヤーとしての一番のストレスは、オンラインとリアルでの実習の質の違いです。リアル会場だからこそ実践的な実習ができます。即効性、効果性、それから楽しさという意味でもリアルセミナーをお勧めします。野津に会いたければ、ぜひセミナー会場にお越しください。



野津浩嗣
国際コーチング連盟マスター認定コーチ/有限会社AEメディカ代表取締役

大阪会場:2025年7月11日(金)

東京会場:2025年8月6日(水)

受講料: 18,000円(税込)


▼プログラム
1.ゆとり世代とはこんなに違う!?「Z世代ナース」との向き合い方
●昭和世代を悩ませたゆとり世代がZ世代に悩ませられる
●ほめるだけじゃ育たない「Z世代」の特徴
●Z世代ナースに求める「心理的安全性」
●なぜ指導する側が指導される側に合わせなければならないのか?

2.承認欲求を満たす「Z世代ナース」のほめ方
●ほめられたいZ世代×ほめるのが上手な先輩
●ほめどころは3つある、でも私たちが使っているのは1つだけ?
●ほめる側の「ほめる」とほめられる側の「ほめる」の違い
●「ほめる」の演習:事例【新人・2年目スタッフナースをほめる】


昼 食(各自でご用意ください)

3.大好評!「Z世代ナース」の叱り方
●叱って欲しいZ世代×叱るのが苦手な先輩
●受け取りやすい叱り方。4つのポイント
●叱るときに、これを付けたらパワハラと言われなくなる
●「叱る」の演習 事例【新人・2年目スタッフナースを叱る】

4.実はみんな苦手な「Z世代のナース」への伝え方
●Z世代がして欲しいフィードバック
●Z世代はなぜ大丈夫じゃないのに「大丈夫です」と答えるのか?
●「上司や先輩の指示がよくわからない」がZ世代の大きな悩み
●「指示」の演習:事例【新人・2年目スタッフナースに指示を出す】



講師の著書のご紹介

令和版 教えて!ホメシカ先生 Z世代ナースのほめ方・しかり方・伝え方

令和版 教えて!ホメシカ先生 Z世代ナースのほめ方・しかり方・伝え方
信頼を築けるホメシカ理論の実践で、新人・後輩指導が変わる!

離職が減少する“新ホメシカ理論”/職場の心理的安全性を高め、新人をやる気にさせる「シーン別の指導法」「行動特性診断(BPA)によるタイプ別部下との向き合い方」を伝授!

行動特性診断でタイプ別に指導育成できる!
数あるコーチング技法の中から、「ほめる」と「しかる」と「伝える」に焦点をあてて、Z世代ナースの特徴に合わせた新人・後輩の指導方法を解説する。すぐに現場で実践できるよう「指導者と指導対象者の会話例」や「マンガ風イラストで、シーン別・タイプ別のケーススタディ」なども紹介している。



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